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経営環境を自ら変えるための長期ビジョン策定
藤井 健太

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2021年4月号


 

 

長期思考で事業ポートフォリオを作成

 

理想の新規事業の投資回収期間は3年だ。しかし、コンサルティングの経験上、5~10年の時間を必要とするのが実情である。ゼロから事業を立ち上げ、採算ラインに乗せ、投資を回収するには、それだけの時間がかかるのである。

 

通常、中期ビジョンは3~5年で策定される(現在は3年の企業が多い)。この期間では新規事業が投資回収途上にあり、イノベーティブかつ大きく育つ可能性を秘めた事業案は生まれにくい。

 

もちろん、M&Aで他社や他社の事業を買収する手段もある。時間短縮につながり、業界の壁を超えるための有効な手でもあるため、ぜひ戦略オプションとして検討すべきだ。しかし、M&Aには、良い案件に恵まれる“ご縁”が必要である。今後M&Aは、本当に欲しいと思っている企業・事業に粘り強く交渉を重ね、長期視点で買収する「ターゲット型M&A」が主流になるだろう。

 

前述のことから、長期ビジョンは10~15年で策定し、バックキャスティングで事業ポートフォリオを構築後、中期ビジョン・年度方針に落としていく流れが望ましい。

 

VUCA時代となった今、目の前に現れた環境変化に合わせて対応していては経営が間に合わない。デジタル化の加速、M&Aの増加により、業界の壁やポジションを崩し、勢力図を一気に塗り替えるゲームチェンジャーの出現も想定しておかねばならない。未来の課題を先取りし、社会に対して先手でソリューションを投げかけていくことが、サステナブル経営の本質になる。

 

また、サステナブル経営を実現するための重点課題である事業承継も同様だ。後継者・次代経営チームの抜擢、育成、並走見守り期間まで、通算すると10年は必要とする。承継を控えている企業は、人材育成も長期ビジョンに織り込んでいただきたい。

 

「未来は予測するものではなく創るもの」。ぜひ、経営を長期思考に移行していただきたい。

 

 

※現在から進むべき未来を考えるのではなく、未来のありたい姿・あるべき姿から今を考える思考法

 

 

  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
    東北支社長
  • 藤井 健太
  • Kenta Fujii
  • 経営者とビジョンを共有し、ビジョンの実現支援を使命に中期ビジョン策定、予算方針管理、人事制度などの経営インフラづくりと実行支援のコンサルティングを展開する。ビジネスモデルイノベーション研究会サブリーダー。

 

 

 

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