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中堅・中小建設会社の働き方改革(業務の平準化)
濵田 崇宏

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2017年12月号


 
国家戦略となった「労働生産性の向上」
 
安倍内閣が現在、経済対策で最も注力しているのが「労働生産性の向上」である。政府は2017年5月24日に「生産性向上国民運動推進協議会」を創設し、同日に首相官邸で第1回目の会合を開催した。会の冒頭、安倍総理は「オールジャパンで生産性向上を進めていく」と述べ、人手不足の課題を克服するには、労働生産性の向上しかないと力説した(首相官邸ホームページより)。

 
日本は、「Karoshi(過労死)」が英語の辞書に載るほど長時間労働で知られる一方、労働生産性がOECD加盟35カ国中22位(2015年、日本生産性本部調べ)と先進国の中で際立って低い。しかも日本は2030年にかけて、生産年齢人口の減少が加速していく。働き手が減る中で経済成長を持続するには、企業各社が従来の働き方を改め、少数精鋭主義で成果を上げていくことが求められる。

 
では、労働生産性が最も低い産業はどこだろうか。それは「建設業」である。国土交通省が「国民経済計算」(内閣府)を基に作成した資料によると、建設業の就業者数・時間当たり付加価値労働生産性(2015年)は2752円。2011年から上昇傾向にあるものの、「全産業」(4409円)の約6割、「製造業」(5228円)の半分程度にすぎない。
 
建設業を巡る「働き方改革」

 
建設業の労働生産性が低い要因として挙げられるのが、先述した長時間労働だ。厚生労働省の「毎月勤労統計調査(年度報)」から建設業の就業状況(2016年度)を見ると、年間実労働時間は2056時間、年間出勤日数は251日。調査対象産業平均と比べ、労働時間は336時間長く、出勤日数は29日多い。つまり建設業の就業者は、他産業より1カ月多く働いていることになる。日本建設業連合会の調査(2015年)では、建設工事の約65%が法定休日(4週4休)以下で就業している。

 
これは建設業が労働基準法の定める「36協定」(時間外労働に関する労使間協定)の残業上限(月45時間かつ年360時間)の適用除外業種となっているためだ。そのため政府は2017年3月28日に決定した「働き方改革実行計画」で、労基法を改正し猶予期間(改正法施行後5年間)後に建設業を残業上限(罰則付き)適用業種へ移行させることにした。
 
こうした動きを受け、日本建設業連合会(以降、日建連)は9月22日、長時間労働の是正に向けた行動計画案をまとめた。改正労働基準法が今年度中に成立し、2019年4月から施行されることを前提に、自主規制などで時間外労働を段階的に削減。2021年度末までに建設現場で週休2日制を実現する目標を設定した。
 
先般の臨時国会での衆院冒頭解散・選挙実施により、改正労基法案の提出・審議が先送りされた。ただ、時間軸がずれるだけであり、「働き方改革」関連法案がいずれ成立することは間違いない。建設業界の働き方改革は「待ったなし」であり、先延ばしせず日建連の行動計画に基づき、時間外労働の削減を進めるべきだろう。

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