TCG Review

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Vol.2 三和建設

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2021年4月号

 

 

 

 

「強み」に特化したブランディングで
顧客から“選ばれる存在”へ

 

「何でもできるは、何もできないのと一緒」。その考えから、事業の「選択と集中」を敢行し、3つの事業ブランドを立ち上げて顧客に“選ばれる存在”を目指してきた三和建設。取り組みは業績のみならず、採用や企業ブランディングなどにも好影響を与えている。

 

 

培ってきた技術とノウハウを生かすブランドをつくり
ファーストコールカンパニーを目指す

 

大阪市に本社を構え、中堅ゼネコンとして事業を展開してきた三和建設。1947年の設立以来、長年にわたり安定経営を実践してきたが、バブル崩壊後から2000年頃までは不況による顧客の設備投資減少により、苦しい経営状況に陥った。

 

「苦境の中、タナベ経営から受けたのは『10年後、20年後を見据え、何かに特化したブランドをつくり、顧客に選ばれる存在、ファーストコールカンパニーになるべき』というアドバイス。その考え方に共感し、経営方針の転換を図りました。しかし、何かを選ぶということは、何かを捨てるということ。当然、すんなりと社内でコンセンサスが取れたわけではなく、議論を重ねた末、事業の集中と選択を決断しました」

 

そう当時を振り返るのは、三和建設の専務取締役、森本行則氏である。この決断により、どんな工事でも受注していたそれまでの体制から大きくかじを切った。顧客に選ばれる企業になるため、自社で「やる」と決めたのは、食品工場設計・建設の「FACTAS®」(ファクタス)と、賃貸集合住宅設計・建築の「エスアイ200」の2事業だった。

 

「FACTAS®」とは、「食品工場(ファクトリー)に三和建設ならではの付加価値を足す(タス)」という意味の造語。食品分野に特化したのは、他業界に比べ食品業界が安定していること、食品工場には高い専門性が求められるため差別化が図れること、何より、サントリーをはじめとする大手食品メーカーとの長年にわたる取引実績があったことが主な理由だ。

 

もう一方の「エスアイ200」は、将来にわたり資産価値を維持させるために不可欠なスケルトンインフィル※1とルネス工法※2を組み合わせた集合住宅ブランド。時代に合わせて「200年、快適・安心に暮らせる集合住宅ブランド」としてスタートした。

 

 

専門分野への特化ブランドで高い提案力を実現

 

「FACTAS®」が生まれた背景には、同社の歴史が深く関わっている。同社は創業間もない頃からサントリー山崎蒸溜所をはじめ、数多くの食品工場を手掛けてきた。

 

ひと口に食品工場といっても多様な分野がある。食材の種類や形状によって製造方法が異なる上、生産機械と建築が密接に関連するため、エンジニアリングの知識や技術も要するのだ。

 

「建物を建設するだけでなく、例えば空調や電源の設置場所など、生産機械を効率的に配置するための設計力も求められます。そもそも食品工場は生産機械を決めてから建屋をつくるのが一般的。そこで、生産機械の提案など川上の業務も経験しながら提案力を高めてきました。この蓄積が『FACTAS®』の大きな強みになっています」

 

東京本店次長で「FACTAS®」のブランドマネジャーを兼務する安藤知広氏はそう説明する。建物の建設だけでなく、エンジニアリングのノウハウが必須になることから、同社ではエンジニアリング会社をグループ内に立ち上げるなど、食品工場のエキスパートとして環境を整えてきた。その効果は大きく、「エンジニアリング会社を立ち上げたことで、顧客からのファーストコンタクトが増えている」(安藤氏)という。

 

こうして技術面の充実を図る一方、「FACTAS®」というブランドを広く伝えるマーケティング活動にも力を注ぐ。これまで同社が積極的に行ってきたのが展示会への出展だ。

 

「食品業界展示会で知り合った食品会社を対象に、参加者が興味を示しそうなテーマで無料セミナーを開催して関係づくりを強化してきました。同時にホームページで情報発信し、SEO対策にも力を注いでいます。地道な努力が実り、最近はホームページ経由での問い合わせや受注も増えてきています」(安藤氏)

 

これまでは顧客企業へ足繁く通い、信頼関係を構築する“旧式”の営業活動が多かったが、FACTAS®事業を立ち上げ、ブランドを育む間に、そのスタイルは一新されつつある。また、関西中心だった営業エリアは今では関東にも広がり、飲料、製氷、製菓など幅広い食品工場を手掛けながら、同社の基幹事業として成長をけん引している。

 

 

※1…建物をスケルトン(構造体)とインフィル(住戸部分)に分けること。耐用年数の短いインフィルのみを定期的に改修することにより、建物を長持ちさせるための構造。必要な箇所のみ改修できるのでコスト(維持管理費)の軽減にもなる
※2…スケルトンインフィルに最適な逆梁二重床をさらに進化させた技術がルネス工法。束のない床下を確保することで自由な空間設計を実現し、遮音性の向上や間取りの可変性、床下メンテナンス性を高める

 

 

 

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