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Vol.12 たった1人の悩みを解決する

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2019年5月号
 
新規事業の必要性は今さら、申し上げることもないであろう。
 
人口・顧客の減少、本業をも脅かすデジタル技術の進展といった環境下、国内企業の間で今、焦りとも言える新規事業の創出競争が起きている。
 
大企業はスタートアップ企業への投資、国内外企業のM&A(合併・買収)や資本・業務提携など、蓄積した資本を元にスピードを買っている。
 
しかし、経営リソースが不十分な中堅・中小企業は、そうした大企業のマネをしても新規事業が容易に成功しそうにない。
 
なぜなら、スタートアップ企業にとっても、M&A候補企業にとっても、名の知れた大企業と組んだ方が優位だからだ。
 
悔しいが、この現実は、甘んじて受け入れなければならない。無理に虚勢を張れば、身の丈以上の投資にもつながりかねない。
 
一方、大企業と中堅・中小企業の差が縮小している部分もある。①開発の低コスト化、②プロモーション力(SNS などによる拡散力)、③オープンイノベーション機運の高まりという3 点であり、端的に言えば、開発がカジュアル化してきているのだ。
 
従って、最も大事なことは、「事業開発のネタの発見(見極め)」である。
 
事業開発のネタの発見方法として、「たった1人の悩みの解決」から始めることを提言したい。
 
誠実・懸命に取り組んでいる顧客1人の悩みにフォーカスし、その悩みを全社と外部の知恵を得て解決していくという、地味だが、やりがいのある事業開発手法である。この方法だと顧客の顔が見え、解決したことを実感できる。
 
つまり、現場監督Aさん、研究開発員Bさん、中小建設業の経営者Cさん、東南アジアのある国で子育て中のDさんの悩みと向き合うのだ。
 
そこに、マーケットサイズやアンケートニーズから多数を選択するといった、事業・商品開発のセオリーは必要ない。
 
たった1人の顧客の悩みを解決済み」にする。それが人と人をつなげ、拡散していく原動力になっていくのだ。
 
皆さんも現場の社員に聞いてほしい。「最も愛する顧客は誰か、誠実・懸命に仕事に取り組んでいる顧客は誰か」。そして、その顧客の現場へ足を運び、「何が悩みか」「何をしたいのか」を発見してほしい。

 
その悩み・課題を解決しよう。そうした足元の成果が、未来を創っていくのだ。
 
編集部注
本連載は、年4回掲載いたします。
 


 
 
 
Profile
 
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タナベ経営 取締役副社長
長尾 吉邦  Yoshikuni Nagao

タナベ経営に入社後、北海道支社長、取締役/東京本部・北海道支社・新潟支社担当、2009年常務取締役、13年専務取締役を経て、現職。経営者とベストパートナーシップを組み、短中期の経営戦略構築を推進し、オリジナリティーあふれる増益企業へ導くコンサルティングが信条。クライアント先の特長を生かした高収益経営モデルの構築を得意とする。著書に『企業盛衰は「経営」で決まる』(ダイヤモンド社)ほか。