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【対談】

WORLD REPORT:ウィズコロナでアップデートする世界

コロナ禍によって世界が変容する中、海外のビジネス現場はどう変わろうとしているのか。米・英・独・中・印のビジネス専門家とタナベコンサルティンググループの社長・若松が対談しました。
対談2021.04.09

ウィズコロナでアップデートする世界:インド・中国編【Vol.2】

【図表】中国の新しいトレンド

 

 

ECビジネスはBtoC、BtoBともに有望

 

若松 このような環境激変の中においても、日本企業の商品が海外ECサイト販売で成功する可能性はありますか。

 

Rong 日本の会社が中国やインドに進出する上でECは非常に有効な方法だと思います。従来の方法で進出しようとすると、卸売会社や代理店を探したり、拠点の開設地を模索したりしなくてはなりません。広大で人口も多い国の場合は、地域ごとに専門の卸売会社と付き合わねばならないなど大変です。しかし、ECで市場に参入すれば、一気に全国展開を図れます。

 

もちろん、ECなりの難しさがあります。強豪渦巻く過当競争の中でいかに認知度を上げるか、どのようにネットワークトラフィック(通信量)を強化するかといった難題を解決しなくてはなりません。

 

若松 今回の社会変革は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と呼ばれるようにBtoB領域にも及びます。インドも中国も、デジタル領域の先端分野が数多くあります。BtoBのデジタル化については、どのような変化が起きていますか。

 

Kanetkar インドにはBtoBのオンライン取引を仲介するプラットフォームがあります。オンライン取引は卸売会社を介する従来のチャネルよりもマージンが若干低いので、デジタルとリアルを組み合わせてBtoBの展開を図るのが最善策でしょう。インドではBtoCよりもBtoBの方が市場に参入するチャンスがあると思います。

 

Rong 中国のアリババグループはBtoBからスタートし、そのプラットフォームは今でも健在です。それを介して海外の商品を販売することは十分に考えられます。また、カスタマイズ商品・サービスを手掛けるプラットフォームも存在しますが、BtoCのように巨大なプラットフォームはありませんから、個々の市場やケースに応じたプラットフォームを探す必要があります。

 

若松 最後に、ポストコロナ時代に成長が見込まれる市場を教えてください。

 

Kanetkar デジタル化には多くのチャンスがあります。現在インドは、政府や企業、組織が新たなソリューションの実現に活用できる共有デジタルインフラ「Open Digital Ecosystems(オープン・デジタル・エコシステム)」を構築。モディ首相も2020年8月に「国家デジタルヘルスミッション」を発表し、あらゆる医療関連サービスのために相互運用性を持つ統合型デジタルヘルスプラットフォームの構築を目指しています。自動化、AI、IoT、機械学習などに関連する市場の成長が期待できます。

 

Rong 中国ではヘルスケアと生物化学、食品と飲料、農産物とアグリテック、高齢者向け、IoTと電気通信、自動車産業(特に電気自動車関連)といった領域の成長が見込まれます。

 

若松 世界人口の約37%を占める両国の動向は、日本の企業経営者も注目しています。本日は貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 

 

厳しい管理体制が敷かれていた上海では、健康のために意識して運動を行うようになった人も多い

 

 

 

 

 

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