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【コンサル事例】

チームコンサルティング対談

クライアント企業などとタナベコンサルティンググループのプロフェッショナル・コンサルチームによる経営対談。企業成長の施策と成果を紹介します。
コンサル事例2020.08.19

テック長沢:“社員と共につくる夢”を実現する組織経営へ

 

テック長沢 総務部 部長 荒井 直氏
新潟県長岡市出身。新潟大学農学部卒業後、キノコ生産の会社でキノコ栽培の研究に携わる。2013年テック長沢入社。品質保証課を経て、2014年管理部長、2017年から総務部長。

 

 

社員教育にリンクした人事制度を構築

 

久保田 新卒・キャリア採用が増えたことで、若い社員も多く活躍されていますね。雇用や人材育成について、どのように考えておられますか。

 

長澤 月並みな言い方ですが、企業の力は社員の力の総量。社員の成長が企業の成長に比例します。正直に言いますと、以前はハード面の投資を優先していましたが、最近は人への投資を増やしています。

 

設備はお金を出せば他社も手に入れられますが、人材はお金を出しても簡単に手に入れることができません。教育投資をしながら人材の質を上げ、数だけでなく質の高い雇用を創出することが、地域への貢献にもつながると考えています。

 

久保田 人材育成とリンクした人事制度を策定されました。制度のポイントや狙いについてお聞かせください。

 

荒井 制度の狙いは個人目標の設定によって社員の能力を伸ばすことにあります。社員一人一人が目標に向けて努力することで能力が上がり、その結果が自社の業績向上につながる姿が理想。そのような制度をタナベ経営にお手伝いいただきながら構築しました。

 

人材育成とリンクさせるには「何を頑張ったら評価されるのか」という基準をきちんと示すことがポイントになります。特に、個人の目標と会社の目標は同じベクトル上にないといけません。みんなが同じ目標に向かっていけるよう、試行錯誤しながら取り組んでいます。

 

久保田 組織が大きくなるほど、人を育てる仕組みが必要となります。

 

長澤 社員が少ないころは1人ずつに目が届きましたが、組織が大きくなってからは社員の日常の頑張りを拾い切れていない点があったと反省しました。社員の頑張りをきちんと評価したい。これが制度導入の一番の理由です。

 

個々の努力をちゃんと見ている人がいて、適正に評価してもらえていると感じることが次のモチベーションにつながります。人事制度を活用しながら、長期間働いてもらえる組織にしたいと考えています。

 

久保田 タナベ経営のチームリーダー研修に女性社員も派遣されていました。女性活躍についてはどのように取り組んでいますか?

 

長澤 金属加工は男性の仕事のようなイメージが強いですが、当社には女性が担当できない仕事はありません。ただ、女性は増えてはいるものの、割合で言えば全体の3分の1程度にとどまっているのが実情。もっと比率を上げて、管理職にも登用していきたいと考えています。今も育休中の社員が2名、年内に2名が産休に入りますが、彼女たちが再び職場で活躍してくれることを期待しています。

 

また、女性に限らず、当社には高齢者や障がいのある方、ベトナムやミャンマー、カンボジアなど外国の方も働いてくれています。そうした多様性は当社の強み。さまざまな年齢や性別、国籍の社員が働きやすい職場であることは、さらなる成長を目指す上で大きなメリットになると思います。

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 新潟支社長 森松 貞治
企業の成長戦略の立案およびビジョン構築、新規事業・新商品開発に数多く携わる。各企業の強み(技術・商品・ノウハウ)に磨きをかけ、勝てる場(新マーケット・新チャネル)へと展開させ高収益企業へと導いている。クライアントの真の強みを見つけ、クライアントと共に育てていく親身なコンサルティングで数多くのファンを持つ。

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 コンサルタント 五島 健二
「現場・現実・現品」の三現主義を信条とし、見える化から事業承継までの幅広い分野で、中堅・中小企業の成長を支援している。また、新入社員から管理職までを対象とした実践型の研修でも活躍。会社と社員の幸福の実現をテーマに、熱意あふれるコンサルティング活動で多くの顧客から高い評価を得ている。

 

 

人が集まる土壌をつくり永続する企業へ

 

森松 自社ブランド「ナガサワツール」の製造・販売やねじ検査の時間を短縮できる「電動ねじゲージ」のオンライン販売など、独自商品にも力を入れておられます。今後のビジョンについてはどのようにお考えでしょうか。

 

長澤 今あるコア技術が20年後、30年後に陳腐化するとは考えていません。ただ、今後の展開を考えると下請け中心では成長に限界があるため、自社ブランドを含めた新たな開発にもっと力を入れていこうと考えています。また、自社だけでなく地域として発展することが大事だと思います。例えば、同じ新潟県でも燕三条の全国知名度は抜群です。地元の会社でアライアンスを組んで、地域全体で競争力を持つことが理想です。

 

森松 今後の目標を教えてください。

 

長澤 実は、これまで最終的な目標はつくっていませんでした。最終的な目標を立てるとそこがゴールになってしまい、自ら可能性に上限を決めてしまう気がするからです。

 

ただ、会社が永続していく体制を整えたいという思いは強く持っています。それには良い人材をいかに集めていくかが課題。知名度を上げるためにも、株式上場が当面の目標になると考えています。

 

森松 確かに、柏崎市内や新潟県内での知名度はかなり高まっていますが、それ以外の地域の知名度を上げる方法として上場は適していると思います。採用活動においては、見つけてもらうこと、知ってもらうことが非常に重要です。

 

長澤 進学などで柏崎市を出た人が地元に戻って就職するケースは多くありません。「良い仕事がない」「働く場所がない」というのが理由ですが、良い仕事や働く場所があることが知られていないだけ。これは地域全体の問題です。この先、「テック長沢があるじゃないか」と言ってもらえる会社を目指していきます。

 

森松 テック長沢には地方の企業が参考にすべき要素がたくさんあります。これからもますますのご活躍を祈念するとともに、タナベ経営も陰ながらお手伝いさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 主任 久保田 育恵
人材開発部門でセミナーの企画から運営業務まで一貫して担当し、多くの人材の成長を実現。現在は「人材成長を通じた組織成長の実現」をテーマに「成果を上げ続ける生き生きとしたチーム作り」を支援。新入社員から管理職まで、組織にマッチした研修での丁寧な指導でクライアントからの信頼を得ている。

 

PROFILE

  • (株)テック長沢
  • 所在地:新潟県柏崎市藤井1358-4
  • 創業:1963年
  • 代表者:代表取締役 長澤 智信
  • 売上高:17億円(2019年6月期)
  • 従業員数:172名(2020年5月現在)

 

 

 

 

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