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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【インタビュー】

100年経営対談

注目企業のトップや有識者と、タナベコンサルティンググループ タナベ経営の社長・若松孝彦が「100年経営」をテーマに対談。未来へ向けた企業の在るべき姿を描きます。
インタビュー2019.07.31

vol.37
豊かで楽しい食生活を提案し続けるスーパーマーケットのファーストコールカンパニー
ヤオコー 代表取締役会長(日本スーパーマーケット協会 会長) 川野 幸夫 氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2019年8月号

2020年に創業130年を迎えるヤオコーは、30期連続増収増益(単体ベース)を達成した。売上高4350億8500万円、従業員数1万4772名(ともに連結ベース、2019年3月末現在)の東証1部上場のスーパーマーケットチェーンだ。一般的なチェーンストア理論の対極とも言える「個店ビジネスモデル」を推し進め、地域の食生活に密着した商品と情報を提供し続けることで「日本一元気なスーパーマーケット」と呼ばれている同社の戦略を、代表取締役会長の川野幸夫氏に伺った。

“真面目にコツコツ”で創業130年の社歴を刻む

若松 ヤオコーは、埼玉県を中心に千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、東京都、神奈川県の1都6県で、多彩な食料品を主体とするスーパーマーケットを展開されています。その数は、172店舗(グループ全体、2019年3月末現在)に達します。

創業は1890年ですから、来年(2020年) は創業130年を迎えられます。日本では100年企業の存続率は約0.6%。私は、存続率の見地から100年経営を「奇跡の経営」と呼んでいます。川野会長は長寿経営の秘訣を何だとお考えですか。

川野 私が4代目の社長を務めた時から、当社のような日常の生活必需品をお客さまへ提供する仕事は、「真面目にコツコツが一番大切」と肝に銘じて日々の業務に励んできました。私の息子である6代目の川野澄人(代表取締役社長)も経営者としてあるべき姿を思い描きながら、日々の弛みない努力を積み重ねています。

若松 私自身の1000社を超えるコンサルティング経験の中から言えることですが、100年を超える会社には「社徳」とも表現できる社風があります。中でも30年連続の増収増益は、多くの劇的な変化、歴史的な出来事を乗り越えての驚異的な実績と言えます。「スーっと現れてパーっと消えるから“スーパー”だ」と揶揄された時代から、会長は業界の最前線に立って、スーパーマーケットのファーストコールカンパニーであるヤオコーを築かれました。多くの同業他社との違いはどこにあるのでしょうか。

川野 あらゆる産業は導入期、成長期を経て、やがて成熟期、衰退期へと進みます。小売業界も確かに、ネットショップの登場で大きく変わる可能性はあります。しかし、お客さまの生活シーンから“食事”がなくなることはあり得ません。それ故、食事に関わる商品や情報を提供するスーパーマーケットのライフサイクルは長いのだと私は考えています。だからこそ、お客さまの課題を的確に捉えた中長期の経営戦略に基づいて、コツコツと努力をしながら“体力”を蓄える戦略の実行が最も重要だと考えます。

その際に忘れてはならないのが、どんなに企業規模が大きくなろうとも、「お客さまの生活をどれだけ豊かに楽しくできるか」「お客さまにどう喜んでいただけるか」を自社の存在意義として中心に置きながら、事業にまい進すること。その結果、業績が伸びたのなら良いのです。

若松 「真面目にコツコツ」という意味は、会社の存在意義を明確にし、それに向かってブレることなく、お客さまと向き合う努力を日々積み重ねる「経営体質」であり、「個店経営モデル」を意味しているのですね。非常に共感します。

川野 一番大切なのは、自社が存在する意義を確立し、それを全従業員が共有していることです。当社は、「生活者の日常の消費生活をより豊かにすることによって、地域文化の向上・発展に寄与する」を経営理念に掲げています。「豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケット」を経営の基本方針として会社の中心に据えています。

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