vol.36
シリコンバレーのスタートアップ企業と共に日本でイノベーションを起こそう
プラグ・アンド・プレイ ジャパン 代表取締役社長 フィリップ・ヴィンセント 氏 × タナベ経営 若松 孝彦
2019年7月号
プラットフォームの強化で
日本からユニコーン企業を
若松 先ほども申し上げたように、パートナー企業として中堅・中小企業を視野に入れることが重要です。私はコンサルタントとして1000社以上を見てきましたが、年商50億円以上1000億円未満の中堅企業かつオーナー経営者の場合、意思決定が速いですし、資金を持っている会社も少なくありません。
実際、タナベ経営の仲間には、スタートアップに投資している企業もありますし、若い後継者にはオープンイノベーションに高い関心を持っている人がたくさんおられます。
フィリップ 中小企業は、マッチング先としても投資先としても、面白い展開が期待できます。日本の中堅・中小企業には素晴らしい技術がありますから、スタートアップとの連携は魅力の再発信にもつながると思います。
若松 最先端でなくても、切り口を変え、新しいテクノロジーとマッチングすることで復活し、再成長する技術や製品は、少なくないはずです。そうした趣旨の機会やアクセラレーションプログラムを一緒につくることができれば、魅力が高まるのではないかと考えています。
最後に、今後の日本での展開についてお聞かせください。
フィリップ まず、アクセラレーションプログラムのテーマを増やします。今は「IoT」「フィンテック」「インシュアテック※」「モビリティー」「ブランド&リテール」の五つです。シリコンバレーで実施されているテーマの中には、「マテリアル(新素材)」「サプライチェーン」「ヘルスケア」など日本にフィットするテーマがすでにあります。また、日本発のテーマもつくりたいですね。例えば、「アグリテック(農業×テクノロジー)」などは面白いテーマになると思います。
二つ目に、日本はスタートアップにとって入りにくい市場と思われがちでしたが、そうした状況を変えていきたい。当社のエコシステムを通して、海外のスタートアップを呼び込んでいければと考えています。
三つ目が、プラットフォームの強化です。プラットフォームをより広く、強くすることで、もっと多くの企業に活用していただきたい。その上で、スタートアップやサポート企業と共に、新たなユニコーン企業を誕生させたいと考えています。
若松 アグリテックは面白いテーマですね。PnPのプラットフォームを通してイノベーションが起こり、日本経済が活性化していけば、海外での日本企業の存在感は増していくはずです。それが実現するように私たちタナベ経営も取り組みます。共に頑張りましょう。本日はありがとうございました。
※ InsurTech:Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)から成る造語。いわゆる保険版フィンテック。
Plug and Play Japan㈱
所在地 : 東京都渋谷区道玄坂1-10-8
渋谷道玄坂東急ビル2F
設立 : 2017年
プラグ・アンド・プレイ ジャパン
代表取締役社長
フィリップ・ヴィンセント氏
新卒で日本の商社に入社。シリコンバレーオフィスでセールスマーケティングを担当しながら、新規事業立ち上げに従事。2014年よりPlug and Playに参加し、IoT・Mobilityのプログラムのディレクターおよび日本企業のアカウントマネージャーを兼務。2017 年よりPlugand Play Japan立ち上げに参画し代表を務める。現在は、日本の大企業と共にスタートアップの育成・支援を行い、パートナー企業・スタートアップ・Plugand Play Japanの3者がWin-Win-Winの関係になるようイノベーションサービスを展開している。
タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。