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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【インタビュー】

100年経営対談

注目企業のトップや有識者と、タナベコンサルティンググループ タナベ経営の社長・若松孝彦が「100年経営」をテーマに対談。未来へ向けた企業の在るべき姿を描きます。
インタビュー2019.05.31

vol.35
「ポスト2020」――日本企業がとるべき経営戦略とは
大和総研 常務取締役 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸 氏
× タナベ経営 若松 孝彦

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2019年6月号

グローバル経済が大きな曲がり角を迎える今、日本が持続可能な経済成長を実現していくには何が必要か。「ポスト2020」に向けて日本企業がとるべき戦略について、大和総研常務取締役・チーフエコノミストの熊谷亮丸氏に伺った。

米中摩擦は二層構造
体制間の争いは長期化する

若松 IMF(国際通貨基金)は2019年の経済見通しにおいて、世界の経済成長率が3年ぶりの低水準(3.3%=2019年4月時点)になると予測しています。特に、米中の貿易戦争は世界経済の鍵を握る懸念事項です。

熊谷 米中摩擦は二層構造で捉える必要があります。表面的には、貿易赤字の問題。米国の対中赤字が4000億ドルに上っている点を、トランプ米大統領は当初から問題視していました。中国に対して追加関税をかけるなど制裁措置を講じていますが、その影響は「関税のブーメラン効果」によって中国だけでなく米国にも出始めています。このため、適当なタイミングで妥結する可能性は高いでしょう。一方、底流にあるのが体制間の争いです。知的財産権や強制的技術移転、産業補助金、不公正な貿易慣習、データ利活用のルール、サイバーテロなどを巡る問題の根底には、共産主義と資本主義の違いがあります。これは非常に根深いため解決にはかなりの時間が必要でしょう。

若松 東西冷戦の終焉とともに共産主義が敗退し、資本主義が勝利したように見えましたが、ここにきて中国の台頭をはじめ共産主義的経済の復活の兆しが見えてきたことへの米国の危機感が底流にあるということですね。

熊谷 共産主義が衰退した原因として、大きくモラルハザードと中央政府の需要予測の失敗が挙げられますが、ここにきてITやAIの発達によって課題が克服されつつあります。これが息を吹き返している要因であり、アリババ創業者のジャック・マー氏も予言する通り、底流にある体制間の争いは今後20年くらい続いていくと考えられます。

若松 体制間の争いは、国家の根幹に関わりますから簡単には解決しないでしょう。一方、国内では10月に控えた消費増税に伴う消費の冷え込みが懸念されています。

熊谷 2019年度に限れば、10月から3月までの増税分は約6000億円と試算されます。他方で、2.3兆円という大型経済対策が打たれるため、ネットベースで約1.7兆円は景気を押し上げる効果につながるだろうと期待されています。このため、増税時の駆け込み需要や反動減は限定的だとみています。

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