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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【インタビュー】

100年経営対談

注目企業のトップや有識者と、タナベコンサルティンググループ タナベ経営の社長・若松孝彦が「100年経営」をテーマに対談。未来へ向けた企業の在るべき姿を描きます。
インタビュー2019.02.28

vol.33
「ベンチャー型事業承継」で後継ぎの挑戦を支援
千年治商店 代表取締役
一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事 山野 千枝 氏
× タナベ経営 若松 孝彦

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2019年3月号

企業が減っていく経済に明るい未来はない

若松 日頃から多くの学生と接していらっしゃいますが、事業承継に対するイメージはやはりネガティブなのでしょうか。

山野 ガチンコ後継者ゼミは全15回のコースですが、初回に「起業家」と「後継ぎ」のイメージを学生から出してもらいます。結果は、前者がキラキラしているのに対して、後者は非常にネガティブでとてもご両親には見せられないような内容です(笑)。特に、参加する学生のほとんどは家業が成熟産業に属する中小・零細企業ですから将来の不安を抱えており、「継ぐと期待されては困る」と親に内緒で受講している学生も少なくありません。まさに、後継者不在問題の縮図のような現場です。

若松 世の中のイメージに影響されて、若い世代が家業に夢や希望を持てないところに日本経済の本質的な問題がありますね。企業が増えない、逆に減っていく経済に明るい未来はありません。ゼミでは、どのようなカリキュラムを用意されているのでしょうか。

山野 コースの前半は起業家や新規事業に取り組む跡取り社長を毎回招き、学生はひたすら話を聞いてディスカッションします。講師は、学生の親より若い30~40歳代が中心。家業を継いでいてもベンチャーのように活躍する先輩のリアルな話は、受け身の事業承継とかけ離れていますから、家業や承継のイメージを変えるきっかけになります。その上で、後半は家業の歴史について調べてもらい、最後の課題として会社の経営資源を使って自分がどんな事業を始めたいかを考えてもらいます。あえて親に聞かないとできない課題を用意するのは、家族で家業に関するコミュニケーションをとってほしいから。また、自分自身をビジネスの主役に置いて考えると、家業の見え方が変わっていきます。

若松 学生時代に起業や事業承継について学ぶことは価値がありますね。10~20歳代という早い段階から、事業承継のイメージを変えるだけでも、継ぐ可能性は大いに広がります。

山野 すぐに「家業を継ぎたい」とはなりませんが、ゼミを通して将来の選択肢の一つに事業承継を入れてもらえればいいと思っています。面白いのは、学生だけでなく親世代にも思わぬ影響が出ていることです。大学の課題とはいえ、子どもが家業に関心を持ったことを知った50歳代の父親が、「子どもに良い格好をしたい」とか、「事業を良い状態にして渡したい」という理由で新規事業を始めたりする。つまり、バトンを渡す人がいるのといないのとでは、事業に対する姿勢がまったく違ってくるのです。

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