vol.31
「よい医療は、よい経営から」をコンセプトに
日本型ヘルスケアビジネスの完成へ挑む
総合メディカル 代表取締役 社長執行役員 坂本 賢治 氏
× タナベ経営 若松 孝彦
2018年12月号
社会、医療、医師が抱える課題を新たなビジネスモデルで解決
若松 現在の事業領域(ドメイン)は多岐にわたります。セグメンテーションやビジネスモデルが生まれた過程をお聞かせてください。
坂本 1つ目のエポックは、10期目に入院患者向けテレビレンタルシステムの事業をスタートさせたこと。その後の30年を支える土台にもなりました。開業支援とリース業との相乗効果でお客さまが増えていくにつれ、医療機関や先生方から相談を受ける機会が増加。その後の新事業につながっていきました。
若松 タナベ経営が提唱するファーストコールカンパニー宣言の第一に「顧客価値のあくなき追求」というものがありますが、総合メディカルの戦略はまさにそれであり、顧客の要望がビジネスになる素直な、自然な流れの中でビジネス領域が広がっている点が素晴らしいですね。調剤薬局の「そうごう薬局」についても、医療機関からの要望でスタートした事業なのでしょうか。
坂本 はい。時代の流れが医薬分業へと向かう中、主に開業医から「患者さんのために、服薬指導については専門家に任せたい」という声が聞かれるようになりました。医療機関や医師が患者の診療に集中できるように、当社が調剤薬局を引き受けることを決断。ただ当時、医療分野に民間企業が参入するのは難しく、1号店は開局まで時間がかかりました。それでも踏ん張ったことが、今の690店舗以上の体制につながっています。
若松 今でこそ調剤薬局の市場規模は7兆円まで拡大していますが、本当にゼロから立ち上げた市場であり、まさにパイオニアと言っていい。ただし、市場が右肩上がりで伸び続けることが難しいのも現実です。
坂本 これまでは地方の民間企業が各地で市場をつくってきたこともあって、一部の企業の寡占状態にないことが調剤薬局市場の特性と言えます。売上高で見ると総合メディカルは5位ですが、トップ企業でもシェアは約2%、トップ10社を合わせても十数%程度にすぎません。ただ、若松社長がおっしゃる通り、日本中に調剤薬局が広がってある程度は行き届きました。今後はグループ化が急速に進んでいくでしょうが、社会における存在感を高めるためにもトップ3を目指すことは必須だと考えています。