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【特集】

未来戦略

未来の不確実性が高まる中、企業には、外部環境を精緻に分析・予測することよりも、自社の意志でどのような未来を切り開くのかを明確に示すことが求められている。「前期の踏襲」をやめ、成長の限界を突破するための長期ビジョン・中期経営計画構築メソッドを提言する。
2021.09.01

「どこへ向かうのか」を宣言し、全社に浸透させる:サンスターグループ

2017年に開催した役員による長期ビジョン策定ワークショップ

 

 

SDGsを共通言語に「どこへ向かうのか」を発信

 

CSVにCSR、さらにESG経営の推進力にもつがなる長期ビジョンは、SDGsの実現にも貢献するものだ。サンスターグループは「3(すべての人に健康と福祉を)」「11(住み続けられるまちづくりを)」「12(つくる責任つかう責任)」の3つを重点目標に定めている。いまや小学校で学ぶSDGsは、世の中で「みんなが分かる共通言語」になっているからだ。

 

「『サステナビリティ=SDGs』ではありません。誰一人取り残さないことを原則とするSDGsの全てに、当社が事業で貢献できるわけではないので。ただ、会社の目指すビジョンが、共通言語であるSDGsのどの目標に寄与するのかを示すことで、サンスターが社会に対して、どのような製品・サービスで価値を提供するのかが明確になり、社員の意識も高まります。採用活動においても自社の存在意義を説明しやすくなり、価値観に強く共感してくれた特徴ある人材の確保につながっています」

 

そう語る草野氏は、「長期ビジョンは従来のビジネスドメインや企業価値を見直す戦略も示している」と言う。健康のビジネスドメインは広いが、治療のための創薬などの医薬品事業ではなく、予防の可能性を追求する健康習慣づくりへ、事業の方向性を全方位からフォーカスする宣言だ。すでに、消費財事業は健康寿命の延伸を目指して「100年mouth 100年health」をミッションに掲げ、研究開発や営業展開にも集中的に経営資源を投入。一方で、歯科医療材料事業は売却した。

 

2021年3月には、長期ビジョンの実現に向けたサステナビリティ推進内容の配信を、グローバルサイトにて日本語と英語でスタート。国や地域ごとに解決すべき課題は異なるという難しさがあるが、あえてまだできていないこともさらけ出し、グループ全体に危機感を投げ掛けることで、これまでにない議論が生まれている。

 

世界中に数多くあるグローバルなサステナブル企業は、参考になる良き先輩だ。今後は「人財」などの重点領域にも取り組みながら「グループ&グローバルのサンスターは、どこへ向かうのか」を、絶えずアップデートしていく。

 

「経営トップが自分の言葉で語ることが、社内外を問わず、最も伝わります。発信したことは『約束』になりますが、有言実行だと効率が良いし、社員も明確に動き出してくれますよ」(鈴木氏)

 

社名に刻んだ太陽や星のように、世界になくてはならない存在であり続けるため、サンスターグループの挑戦は続く。

 

 

「健康寿命の延伸」を目指すサンスターグループの企業CM。生えたばかりの2本の歯を持つ0歳の赤ちゃんと、自分の歯を20本保っている87歳の現役モデルを起用

 

 

左から、サンスターグループ 広報部 サステナビリティグループ 清家 瑞穂氏、執行役員 広報・サステナビリティ担当 兼 広報部長 鈴木 久美子氏、広報部 サステナビリティグループ 藤村 仁美氏、広報部 サステナビリティグループ長 草野 彰吾氏

 

 

 

PROFILE

  • サンスターグループ
  • 所在地:〈グローバル本社〉スイス、〈サンスター(株)/サンスター技研(株)本社〉大阪府高槻市
  • 設立:1932年
  • 代表者:グループ代表 金田 善博
  • 売上高:11億3200万スイスフラン(約1360億円、連結、2020年12月期)
  • 従業員数:4000名(グループ計、2021年7月現在)
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