社員参画型の中長期ビジョンで「SHINKA」へ挑む
田辺商事
2021年9月号
横浜開港時(江戸時代末期)から続く老舗商社・田辺商事。創業200周年に向けた第一歩としてこのほど、中期経営計画を策定した。事業モデルと組織モデルの両面からアプローチすることで、持続可能な経営を目指す。
明治維新直前の1867年(慶応3年)、開港間もない横浜で創業した田辺商事。砂糖の卸問屋としてスタートし、戦後は製パン材料をはじめとする食品全般のほか、ドライアイス、保冷剤、洗剤、包装資材、燃料、ブライダル用品など、取扱品目を増やしながら総合商社へと成長を遂げた。
しかし、人口減少社会の日本において、現状の事業形態では市場縮小は避けられない。そこで同社では将来も継続的に成長できるように、創業以来、初となる中長期経営計画の策定に当たった。
「今回策定した中期5カ年計画は、創業200周年(2067年)を見据えた第一歩。タナベ経営とともに2020年夏から取り組み、2021年4月から実行に移しています。
当社は、砂糖やパンの材料である小麦やイースト菌などを取り扱っていますが、人口減少や高齢化を背景に今後、日本人の摂取カロリーの減少傾向は避けられず、このままの状態で事業を続けていては先細りです。
また、ドライアイスは二酸化炭素(炭酸ガス)を原料に作られますが、脱炭素社会への移行で生産量は減る傾向にあるなど、当社の事業を取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ない。そんな強い危機感から、今後の変化を見据えた事業戦略と、最適な事業ポートフォリオの構築に挑みました」
中期経営計画を策定した背景をそう説明するのは、田辺商事の代表取締役社長、田辺哲郎氏である。田辺氏は150周年を目前に6代目社長に就任すると、社員の待遇を改善するために給与の見直し、休日出勤や残業削減といった働き方改革を敢行。そして今、200周年を目指した基盤づくりに乗り出している。