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【特集】

プラットフォーム型ホールディングス

事業会社に必要な経営資源を持ち株会社が提供するプラットフォーム型ホールディング経営が増えている。事業を創出し経営者を育む、逆三角形型組織モデルの強さに迫る。
2021.07.01

クリエーティブを生み出すデザインリテラシー
温泉道場


2021年7月号

 

 

グランピング温浴施設「おふろcafé bivouac(ビバーク)」(左)、1号店の「おふろcafé utatane」(右)

 

 

体験価値を提供する「イケ店視察研修」

 

これまでに培った経営資源の長所に気付き、伸ばす。おふろcaféブランドは、その良きソリューションモデルとなっている。

 

1号店のおふろcafé utataneは、鉄道博物館に隣接する鉄道ファン向けの宿泊付き温浴施設のターゲットを女性向けに転換。のんびりとうたた寝しながらくつろげる居場所をデザインコンセプトに、ワークショップやライブなどのイベントも開催している。フリータイム制で、顧客自ら「ワクワクする楽しみを見つける」スタイルを提案し、新たなファン顧客の開拓に成功した。

 

また、O Park OGOSEでは、もともとは温浴施設が中心にあるバーベキュー場だったが、自然豊かな里山の立地を生かす宿泊キャンプやバーベキュー場のサービスを強化し、新たな収益の柱に育てた。それぞれのデザインコンセプトで独自のワクワクを体験価値として提供できるのが、おふろcaféの特長だ。

 

それが可能な理由を、「インハウスのクリエーティブ力があること」と山﨑氏は語る。20超のプロジェクトを並行して進める温泉道場のブランドデザイン室は社長直轄で、全部門が横軸で連携する「デザイン経営」を推進。視野を広げ、さまざまな価値観に触れながら、デザイナーと他部門の社員がデザインを共通語にコミュニケーションできる組織体制と環境を整備している。

 

だが、同社に視察研修で訪れる施設オーナーからは、外部のデザイン会社の活用法に関する相談が多い。

 

「当社に相談をいただく方の多くは、『お金でクリエーティブを買える』と誤った認識をされています。社長にデザインリテラシーがあって外部デザイナーに委託しても、自社に受け入れる素地がないと良い提案が生かされず機能しません。特に、営業部門にデザインリテラシーがない組織は、ロゴやパッケージなど目に見える部分だけを評価してしまうので、本当に格好良い店や魅力あるブランドはつくれないでしょう。

 

デザインを大事にするカルチャーや組織的なデザイン経営の推進こそが、他社との明確な差別化につながります。そこがFC店や他社の運営サポートでも苦労するところです」(山﨑氏)

 

「職位の高い社員ほどデザインリテラシーを持つべき」と山﨑氏は続ける。一方で、楽しみながら体験を通して育むことも大事にしている。同社では、山﨑氏自らガイド役を務めるバスツアー「イケ店(イケてる店)視察研修」を定期的に開催。視察先の見学、体験を通して未知のデザインや楽しみ方に出合い、運営業務に生かすのが狙いだ。

 

「多様な施設の特徴や見方を知るためのフィールドワークです。センスがない人でも、デザインの重要性を知っていれば、それなりにコミュニケーションができるようになり、次の方向性を導き出せます。戦略・戦術にデザインの一貫性が生まれると、業績にインパクトを与えられる。その手応えを実感しています」(山﨑氏)

 

 

 

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