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【特集】

新価値創造

世の中に提供された価値は、 時代や経営環境・市場の変化によって必ず陳腐化する。 企業の持続的成長には、 新規事業開発や新市場開拓が必須なのだ。 コロナ禍という逆境へしなやかに対応して新たな価値を創造し、 新しい市場を開いた先駆者の「価値の生み出し方」 に迫る。
2021.05.06

成功のキーワードは「喜んでもらえる出口」
いろどり


2021年5月号

 

 

葉っぱビジネス
旬の素材の盛り付けに欠かせない「つまもの」。料理を引き立てるために用いる葉や枝花、食材は「目のごちそう」だ

 

 

料理を彩る「つまもの」販売で一躍注目を集めたいろどりは、コロナ禍の影響による販売不振をくぐり抜けた今、イエナカ需要をターゲットに据えた新たな挑戦を始めている。

 

 

世界の注目を集める「葉っぱビジネス」

 

徳島県の中部、勝浦川の上流に位置する上勝町は、豊かな自然に囲まれた人口約1500人の小さな町だ。高齢化率は52%。過疎化と高齢化が進んだいわゆる限界集落にも数えられる同町は、世の中になかった「葉っぱビジネス」をきっかけに、地方再生のモデルケースとして海外からも注目を集めている。

 

葉っぱビジネスとは、日本料理に添えられるモミジやナンテンといった「つまもの」を収穫・販売するビジネスである。つまもの用の葉っぱ類が売買されていなかった1986年に、当時、上勝町農業協同組合(現JA東とくしま勝浦支所)の営農指導員だった横石知二氏(現いろどり代表取締役社長)と4人の“おばあちゃん”が初めて商品化して事業をスタート。試行錯誤を重ねた結果、今では地域の一大ビジネスへと成長している。

 

上勝町には、タブレット端末を操り、相場を読んで出荷計画を立てるおばあちゃんがたくさんいる。中には年収1000万円を超える人もいる、奇跡のような山奥の小さな町に学ぼうと、日本だけでなく海外からも途切れることなく視察団が訪れていた。

 

しかし、その景色は2020年に一変。新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中の動きが止まると、料亭やレストラン、ホテル向けを中心としていた葉っぱビジネスも大きなダメージを受けることになった。

 

「国内で新型コロナウイルスの感染が広がった2020年3月から緊急事態宣言が出された4月、5月は、売上高が前年同月比3割程度まで落ち込みました」と横石氏は話す。その後も9月までは同6、7割程度の水準。政府の経済政策「Go Toトラベル」「Go To Eat」スタート後の10月以降は回復の兆しが見えたものの、年明けの緊急事態宣言の発出によって、業務用商品の売上高は同2割程度まで落ち込んだという。

 

インバウンド(訪日外国人旅行客)の消滅や度重なる外食産業への時短要請――。業務用がほとんどのつまもの需要は、極限まで縮小したかに見えた。しかし、横石氏がここで立ち止まることはなかった。

 

「コロナ禍にどう対応すれば良いかが分かってきました。今は一歩ずつ、歩みを進めています」(横石氏)

 

 

 

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