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【特集】

新価値創造

世の中に提供された価値は、 時代や経営環境・市場の変化によって必ず陳腐化する。 企業の持続的成長には、 新規事業開発や新市場開拓が必須なのだ。 コロナ禍という逆境へしなやかに対応して新たな価値を創造し、 新しい市場を開いた先駆者の「価値の生み出し方」 に迫る。
2021.05.06

「アウトドア×仕事」で新市場を創る
スノーピークビジネスソリューションズ


2021年5月号

 

 

キャンピングオフィス
非日常な空間において協働体験をすることが、社員同士の円滑なコミュニケーションやチームワーク向上につながると期待が寄せられる
「キャンピングオフィス」

 

 

コロナ禍が続く中、「キャンピングオフィス」という従来存在しなかったビジネスモデルが一躍脚光を浴びている。自然を感じながら快適に働くスタイルが支持される理由に迫る。

 

 

ニューノーマルなオフィスが新たな価値を創造する

 

新潟県三条市に本社を置くアウトドアメーカー、スノーピーク。テントや寝袋、衣料品、食器類などアウトドア製品を幅広く展開しているほか、アパレル事業やグランピング施設の運営事業なども手掛け、業績を伸ばしている。同社の情報システム戦略を担っているのが、子会社であるスノーピークビジネスソリューションズ(以降、SPBS)である。

 

代表取締役の村瀬亮氏は大手センサーメーカーに勤務していた経験を生かし、愛知県岡崎市でハーティスシステムアンドコンサルティング(設立当時の社名はアイ・エス・システムズ)を立ち上げた。製造業向けの在庫管理システムをはじめとする情報システムの提供で事業を拡大し、業務の効率化や生産性の向上を提案してきた。

 

2016年、「ITリテラシーの向上と自然への関わりを通して、企業の『人財問題』を総合的に解決する」ことを目的に、スノーピークとともにSPBSを設立。2019年には、ハーティスシステムアンドコンサルティングとSPBSが合併し、後者が存続会社となっている。

 

売上高の約7割を占める企業向けのITソリューション事業を基盤としつつ、SPBSが新たな市場として開拓に注力しているのが「キャンピングオフィス」事業である。

 

キャンピングオフィスとは、「まるでキャンプをしているかのように、人と人が心を通わせ、分け隔てなく意見を交わすことができ、人間らしくワクワク働けるようなオフィス環境や空間」だ。具体的にはアウトドアにおける研修やオフサイトミーティング、室内でのアウトドアインテリアを活用したオフィス空間など、快適に働く場を提供するもの。チームのメンバーが一緒になってテントを張ったり、たき火を囲みながら会議を開いたりすることで、チームの一体感が生まれるとともに、創造的なアイデアを生み出すことが可能になる。

 

キャンピングオフィス事業では、提携しているキャンプ場やホテルで提供する「CAMPING OFFICE」、シェアオフィス・コワーキングスペース「Camping Office osoto」のほか、自社オフィスや同社が連携していない屋外施設にキャンプ用品を取り入れる際に空間デザインやアウトドア用品一式を販売・レンタルする支援も展開している。

 

CAMPING OFFICEは、提携する施設を会議や研修施設として貸し出すサービスで、宿泊だけでなく日帰りにも対応。利用者からは「日ごろの議論よりも笑顔が多く、未来志向のポジティブな議論が弾んだ」「香りや風などが心地良い刺激を与え続けてくれて、集中力を切らさずに仕事ができる理想的な環境」といった感想が寄せられている。

 

一方、屋内で実施するサービスCamping Office osotoは、シェアオフィスやコワーキングスペースとしての利用だけでなく、企業の研修場所としても人気だ。例えば、室内に設置されたキャンプ用品は、非日常的なオフィスらしくない環境でリラックスしながら仕事ができる。また、テントの中で行うブレーンストーミングは周りの目を気にせず自由闊達に意見を出し合える。現在、愛知県など9カ所に施設があり、今後は全国に展開していくという。

 

 

 

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