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【特集】

ライフスタイルカンパニー

約27兆円の市場規模を持つライフスタイルビジネス(アパレル、 ビューティー、 雑貨、 ホーム、 スポーツ・アウトドア)は、いずれもマーケット縮小が予測されている。顧客との共創によって新たな「ライフスタイル価値」を生み出す企業のビジネスモデルに迫る。
2021.04.09

商品開発の鍵は40年続くモニター会議
トップ産業


2021年4月号

 

 

サクふわトーストメーカー

「食パンに切れ込みを入れてから焼くと、おいしく焼き上がる」とSNSで話題になった裏技を、簡単に再現できる商品。スタンプのように押し付けるだけで12カ所の切れ込みが入り、バターの染み込みがよくなる。価格657円(税込)

 

 

消費者の声を拾い上げる商品開発で、ヒットを連発するトップ産業。
かゆいところに手が届く絶妙なアイデア商品はもちろん、商品を通した便利な生活を連想させる企画提案型営業で、販売数を伸ばしている。

 

 

オリジナル商品4000点超の「生活文化創造企業」

 

生協(日本生活協同組合連合会)のカタログに掲載される生活雑貨を中心に幅広いアイテムを取り扱うトップ産業。和装バッグを製造するメーカーから商社へと転身した同社は、数々のアイデア商品を生み出すヒットメーカーとして注目を集めている。

 

4000点以上のオリジナル商品を持つ同社の商品開発パターンは大きく2つに分けられる。1つは、世の中にまだ存在しない商品をゼロから作り上げる開発だ。

 

例えば、型を押し付けるだけで食パンに切れ目が入る「サクふわトーストメーカー」や、保管場所に困る紙袋をすっきり収納する「出し入れカンタン紙袋収納ケース」などがある。日常生活で感じる小さな不満や困り事を丁寧に拾い上げ、ありそうでなかった便利な商品を世に送り出している。

 

もう1つのパターンは、市販されている商品の改良やコストダウンによって魅力を引き出す開発である。台所用のスポンジをペンギン型にし、かわいらしさと食器の隅々まで洗える利便性を両立させた「5つ子ペンギンスポンジ5色組」や、脱ぎ履きしやすい「履き口ゆったりトイレスリッパ」などが挙げられる。

 

履き口ゆったりトイレスリッパは、本体のサイズはそのままに甲の部分だけワンサイズ上のパーツを使用し、内側の生地を滑りの良いポリエステルに変えた商品。すでに進化を終えたように見えるトイレスリッパに、ちょっとしたアイデアを加えた結果、発売から1年半で11万足以上を売り上げる人気商品へ変身させた。

 

なぜ、消費者のかゆいところに手の届くアイデア商品が次々と生まれるのか。代表取締役社長の松岡康博氏にヒット商品開発のポイントを聞くと、「秘密はモニター会議にある」という答えが返ってきた。

 

トップ産業の商品開発の鍵を握る「モニター会議」とは、「30~60歳代の主婦モニターと開発担当者が集い、アイデアや要望の聞き取りや使用テストを報告してもらう会議」(松岡氏)のこと。1981年に始まったこの会議は現在40年目に突入し、松岡氏が「当社の基幹となる会議と捉えています」と言うほど重要なポジションに位置付けられている。

 

モニターは試験や面接を経て決定し、1回の契約期間は4カ月。前回から更新されたモニターも含め、随時4~6名が活動している。基本的に1月と8月を除く毎週金曜日(月4回)の10時から16時まで開催され、モニターが作成した3本のレポート発表のほか、試作品の感想や改良点などをざっくばらんに話し合う。

 

レポートの内容は、使用している商品への不満や新商品のアイデア、困り事など、日々の生活の中で感じたちょっとした気付きだ。3本のうち1本は、「浴室の掃除」「キッチンの収納」など与えられたテーマについて発表するルールである。モニターは普段から家事や子育てを担う主婦だけに、ハッとさせられる発見や厳しい指摘も多いという。

 

「私も毎回、モニターのレポートを見ていますが、『色がダサい』『高い』『こんなの家に置きたくない』など、感じたままの忌憚のない意見が挙がっています。逆に言えば、素直に発言していただけないと良い商品開発にはつながりません」(松岡氏)

 

 

「サクふわトーストメーカー」開発のきっかけとなった主婦モニターのレポート。忙しい毎日の中でも、おいしさにこだわりたいという思いが込められている

 

 

 

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