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【特集】

ライフスタイルカンパニー

約27兆円の市場規模を持つライフスタイルビジネス(アパレル、 ビューティー、 雑貨、 ホーム、 スポーツ・アウトドア)は、いずれもマーケット縮小が予測されている。顧客との共創によって新たな「ライフスタイル価値」を生み出す企業のビジネスモデルに迫る。
2021.04.09

時代や顧客と価値を共創するファッションテック
コックス


2021年4月号

 

 

業界初のファッションマスク専門店である「Mask.com」は、ECサイトと同時に東京駅直結の八重洲地下街に1号店をオープン

 

 

コロナ禍の必需品を店舗とECサイトで同時立ち上げ

 

顧客がより身近で関係性の深い存在となり、店舗でファッションアドバイザーが評価の声を聞き、ECサイトでは開発商品を企画段階でライブ配信して反響の声を収集。ファッションの今とこれからを共創する仕組みが生まれている。それが大きな成果をもたらしたのが日本初、最大級のファッションマスク専門店「Mask.com(マスクドットコム)」の立ち上げだ。

 

コロナ禍による緊急事態宣言で店舗の8割が休業を余儀なくされたとき、店舗の店長から「ファッションマスクを販売しては?」と提案の声が上がった。当初は市販の布マスクを仕入れて販売したが、すぐに顧客の声に耳を傾けて自社開発に着手。春には子ども用、夏には冷感・涼感、さらに保湿・抗菌・抗ウイルスなどの機能性や天然素材など、多様なニーズを満たすマスクを提供した。9月には、ECサイトとリアル店舗1号店・八重洲地下街店を同時に立ち上げた。

 

当初は「アパレルブランドがなぜマスクを扱うのか」という声も社内にあったと語る寺脇氏。だが、あえて「やらないことがリスク」と挑戦を決める。コロナ禍以前から、新しい生活様式を視野にタイムリーなものづくり・物流のSPAバリューチェーンを再構築し、全社を挙げてイノベーションを推進した経験が生きている。500~10万円で200種類超の品ぞろえを実現し、ファッションアドバイザーが「マスクコンシェルジュ」として顧客のニーズや悩みを聞き出し、一人一人にふさわしいマスクを提案。必需品であるマスクをファッションに変え、選ぶ楽しさと満足度を高める成果につなげた。

 

「メディアでも取り上げられ、大きな支持を頂いています。マスク販売は私が背中を押しましたが、マスクコンシェルジュのネーミングも衛生用品の清潔感を大切にするための白衣の着用も、プレスリリースの最終チェックで知りました。現場起点で社員が主体的にアイデアを出し、行動してくれたおかげです」(寺脇氏)

 

主体性と実行力が湧き上がる姿には、胎動があった。コロナ禍でもできることがあると、社員が自ら企画した「日本を元気にしようプロジェクト」である。イノベーションを進める中で芽生えた「ファッションのチカラ」への自信が、その原動力だ。延長線上に誕生したMask.comも、コロナ禍の影響でアパレル製品が売れず、生産を停止していた取引先の工場や社員のものづくりを支え続ける。

 

また2020年秋、新発売した100万円(税抜)の「ダイヤモンドマスク」も、コロナ禍で大打撃を受けた宝飾業界を支援しようと開発した商品だ。このような取り組みに共感した消費者が新たな顧客となることで、企業価値向上にも結び付いている。

 

 

 

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