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【特集】

サステナブル農業

離農や高齢化に伴う担い手不足、耕作放棄地の拡大、食料自給率の低下といった問題に直面する日本の農業。作業の効率化・省人化や面積当たりの収穫量アップなどの課題を最先端の技術で支えるアグリテック企業の取り組みに迫る。
2021.03.01

国内外に600人以上の雇用を創出
サラダボウル


2021年3月号

 

 

いわて銀河農園
サラダボウルのグループ会社であるこの農園は、東日本大震災の被災跡地(岩手県大船渡市)に整備したグリーンハウスでトマトを生産している

 

 

農業の魅力を高め「人を育てる人」を育てる

 

「トータルフードバリューチェーンを通して目指しているのは、消費する側が欲しいと思う商品を、きちんと生産して、届けること。さらに、その先にある、笑顔があふれる食卓の風景です。農業者は、そうした景色を実現できるように、もっと消費の現場に近づく必要があると思います」(田中氏)

 

消費者にとって価値ある商品とは何か。そこを起点にビジネスモデルをつくるのが同社のスタイルだ。その上で、ものづくりの視点から農業を捉え直し、徹底した生産工程管理や品質管理を実施。農業では難しいとされてきた4定(定時、定量、定質、定価格)を実現するなど、農業の新しいカタチを打ち出している。そこに可能性を感じるから、多くの人が集まってくる。農業の魅力を高めること。それが継続的に人材を集める鍵になる。

 

サラダボウルのグループ全体の正社員数は70名を超えるが、各地から多くの引き合いが寄せられる中、急務となっているのが人材の育成である。同社の人材育成ポリシーは、「人を育てる人」を育てること。1000人の農作業者よりも1人の農業経営者を育成する――。その実現に向けて注力するのが、人事の体系化だ。

 

もともと同社は、強い農業現場を目指して、作業現場におけるカイゼン(改善)活動や見える化、原価管理などに継続的に取り組んできた。また、それらの技術やコストマネジメントに関する勉強会を自発的に実施するなど、OJTとOff-JTの中で人材の成長を促してきた。

 

そうした土壌を生かしながら、まさに今は「人を育てる人」の育成に向けた新たな制度や仕組みを取り入れている段階。その一例が、2019年に導入された等級制度である。職種や職位ごとに期待される技能や役割、責任などが示されており、キャリアアップの道筋が明確になった。さらに、経営企画室の森成徳氏は、「マネジャーとチームメンバーが方向性を合わせながら成長していける制度設計」を特徴として挙げる。

 

「マネジャーは担当チームのメンバーに対して目標設定を行いますが、1カ月半ごとに一緒に達成状況を確認する機会を設けています。また、その際に確認すべきチェックポイントをいくつか設定し、マネジャーとメンバーが定期的に『次の成長課題は何か』『成長するために何をすべきか』といったコミュニケーションの場を持てる制度となっています」(森氏)

 

比較的短いスパンで、マネジャーとチームメンバーが状況や課題を共有することによって、タイムリーなアドバイスや早期の課題発見につながる。メンバーにとっては早い段階で軌道修正できるなどメリットが多いが、マネジャーにとっても「『どうフィードバックするか』『どう方向付けするか』を考える機会になり、良い意味でマネジメントの実地経験の場になる」と森氏はその効果を説明する。

 

 

 

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