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【特集】

見える化×DX

コロナ禍による社会環境と価値観の変容で、デジタルツール活用は全企業の最重要課題となった。対面接触を減らしつつ業務効率を上げるために、また多様な人材が活躍できるように、デジタルの力で課題を「見える化」し、生産性向上へつなげた取り組みにフォーカスする。
2020.12.28

ケアプラン作成から事業所選びまでをサポート
ウェルモ


2021年1月号

 

 

 

 

書類仕事が多いケアマネジャーの業務効率を先端技術で支援するウェルモ。介護に関する地域資源を見える化する情報プラットフォーム「ミルモネット」や、ケアプラン作成支援AIシステム「ケアプランアシスタント」で、介護の専門家が人に寄り添う余裕を増やせるよう、業界全体の生産性改革を推し進めている。

 

 

介護現場のアナログな働き方を変える

 

病院やクリニック、薬局、訪問看護、ヘルパーやデイサービスなどが協力して要介護者をサポートするチームケアにおいて、各機関の専門家と要介護者をつなぐ要となるのが「介護支援専門員」(以降、ケアマネジャー)だ。要介護者が自立した質の高い生活を送るための介護計画書(ケアプラン)を作成したり、そのケアプランに対応できる介護事業者を探したりといった役割も担う、現場連携のキーパーソンである。

 

各機関がスムーズに連携するには、情報をリアルタイムで共有することが重要だが、携わる機関が増えてくると、情報共有だけでもかなりの手間と時間が必要になる。また、要介護者ごとにさまざまな書類が必要であり、担当人数に比例してケアマネジャーの業務量は増える。本来の業務である「要介護者と向き合う時間」は削られ、ケアマネジャーは身体的にも精神的にも疲弊しがちだ。

 

こうした悪循環を断ち切るため、ICTやAIを使ったサービスでケアマネジャー支援に立ち上がったのが、福祉分野で社会課題の解決を目指すウェルモである。代表取締役CEOの鹿野佑介氏は次のように語る。

 

「サービス開発のきっかけは、私が人材コンサルタントや大手企業の人事として働いていた当時、休暇を利用して介護現場でボランティアをしたことです。そこで目の当たりにしたのは、資本主義・個人主義的な今の価値観とまったく違う、人と人がつながる温かさや心の豊さといった素晴らしい世界感でした。私はそれにとても心打たれました。

 

一方で、介護という仕事に情熱を抱いて業務に打ち込んでいるスタッフの皆さんが、大変な思いをしていることにも気付きました。もっと働きがいを感じることができるようにしなければ、高い志と情熱を持っている現場の人たちが報われないと強く思ったのです」(鹿野氏)

 

介護業界は、「介護保険制度」の枠組みの中で活動する官製市場の下にある。自由経済のように付加価値の高いサービスで高価格帯を狙うといった戦略が採れないことも、介護業界の特徴の1つだ。

 

例えば宿泊業なら、最高級のサービスでもてなすザ・リッツ・カールトンと、必要最小限のサービスを提供するビジネスホテルが同じ宿泊料ということはあり得ない。だが、介護保険制度では売り上げに当たる「介護報酬」の額が定められており、スタッフ1名が担当できる要介護者数の上限も決まっているため、“売上高”は頭打ち。こうした官製市場の特徴が、現場に疲弊を招いている。

 

「介護事業者の8、9割は零細・中小事業者です。人事部や人事担当がある組織は少なく、労働環境の改善にもなかなか手が付けられない。この構造を何とかしなければ、介護業界全体がとんでもないことになるという危機感を覚え、支援事業をスタートしました」(鹿野氏)

 

同社の主な事業は2つ。ケアマネジャーが介護事業所を簡単に探せる情報プラットフォームの運営と、ケアプラン作成をAIで支援するサービスの開発(2020年11月現在、クローズドβ版のテストマーケティング中)である。

 

 

 

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