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【特集】

見える化×DX

コロナ禍による社会環境と価値観の変容で、デジタルツール活用は全企業の最重要課題となった。対面接触を減らしつつ業務効率を上げるために、また多様な人材が活躍できるように、デジタルの力で課題を「見える化」し、生産性向上へつなげた取り組みにフォーカスする。
2020.12.28

3色のシグナルを改善の道しるべに
パトライト


2021年1月号

 

 

パトライト3色信号灯
年間50万本が出荷され、全国のものづくり現場で稼働中のパトライトの3色信号灯。点灯する色の変化で、自動生産機械の稼働状況が現場のオペレーターや作業者にひと目で分かる。IoTツール「AirGRID®」と連動し、究極の「見える化」を実現

 

 

ドイツ発の「インダストリー4.0」や「中国製造2025」など、IoTとビッグデータを活用したものづくりの革新が世界中で推進されている中、「安く、早く、簡単に」生産性を向上できる、日本発のシンプルなIoTツールが評価を高めている。現場の「魅せる化」を支援するパトライトが考える、日本のものづくりの課題とは――。

 

 

現場の動きをシンプルにデータ化

 

赤は止まれ、黄は安全に注意、青は進んでよし――。交通信号機の3色灯は「見える化」を凝縮した姿だと、パトライト営業本部営業推進課の課長代理・吉原久雄氏は語る。

 

「いつでもどこでも誰が見ても、すぐに分かり、正しくアクションを起こせる。人間の直感や経験から推測できる、究極に見える化したシンプルな情報です。それをものづくり現場に役立てているのが、私たちの3色信号灯です」

 

モーターメーカーとして創業したパトライトは、回転灯やパトカーの散光式警光灯の自社開発で成長軌道を描き、3色信号灯では世界トップシェアを誇る。世界中の人に「安心・安全・楽楽」を届ける企業理念の下、幅広い産業分野で生産性向上につながる「見える化」をサポートしている。

 

最近は、光や音、文字による情報伝達とネットワーク技術を融合したIoTツール「AirGRID®」が注目されている。工作機械など自動生産設備1台に1本取り付けた3色信号灯から、ワイヤレス通信で設備の稼働情報を送受信し、改善に生かすシステムだ。

 

国内のものづくり現場でいま、期待通りにIoT活用が進まない要因は、使い続ける生産設備にデータ収集のインターフェースがないこと。だが、実はIoT環境を整備しても、投資に見合う費用対効果を得られない企業は少なくない。

 

「ビッグデータやAIというキーワードが独り歩きし、データさえ収集すれば、分析も課題の改善もできて生産性が上がると思いがちです。しかし、現実には、データが多すぎて相関が複雑になり分析・活用できない、あるいはシステムが高額で、水平展開する予算がないという声も少なくありません。

 

IoTはあくまでも手段なのに、データ収集が目的になってしまうのです。ボタンを掛け違えた仕組みを作ると現場で使い物にならず、運用に乗りません」(吉原氏)

 

3色信号灯は、緑は正常稼働、赤は停止中、黄は段取り替えなど、工場ごとにルールを統一して運用。点灯する色の変化で、現場のオペレーターや作業者は自動機の稼働状況がひと目で分かる。

 

AirGRID®はその「究極に見える化」した動きを、ワイヤレス通信でデータとして収集する。メーカーや機種、年式の違いに関係なく利用でき、50超のITベンダーと連携して多様な現場運用ソフトウエアに対応。本当に必要なデータを集め、分かりやすく改善につなげる仕組みだ。しかも、ビッグデータの活用環境を新たに構築するより「安く、早く、簡単に」できるメリットがある。

 

「ビッグデータの考え方は、全ての設備、全ての場所の、あらゆるデータを取ること。しかし、使えるデータに加工する処理が生じる上、不要なデータが増え続けるため大規模なストレージが必要です。今ある設備をベースにIoTをうまく活用し、改善につながるインフラができる。データ量は少なく、ノートPCでスムーズに動く。私たちが目指す『楽楽』のシーンが、そこにあります」(吉原氏)

 

「知らせる」気付き支援から、シンプルで本当に必要なデータを「記録し活用する」現場改善の支援へ。緑・黄・赤のランプの輝きにより、活躍度を高める現場を増やし続けている。

 

 

 

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