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【特集】

ミッション経営

「道徳経済合一」。近代日本資本主義の父・渋沢栄一の経営哲学は、今なお多くの企業家のポラリス(北極星)として輝き続けている。ミッションを掲げ、より良い社会の実現に取り組む事例から、持続的経営を可能にする組織・風土づくりを学ぶ。
2020.11.30

「アワ クレド」で強固なチームワークをつくる:ヨリタ歯科クリニック

ライバルはディズニーランド

 

ヨリタ歯科は路面でなく、ビルの3階に開院している。徒歩10分圏内に歯科医院が25件ある激戦区で、思いに共感した患者がわざわざ来院する「選ばれる存在」というわけである。その地位をさらに確固たるものにするため、ライバルに挙げるのはあのディズニーランドだ。

 

「ライバルと言うより、あんなふうになりたいと思っています。いつも楽しい場所で、キャストの動きも素晴らしい。みんながあの舞台に立ちたいと願い、キャストは役になり切って演じて、ディズニーの思いにかなう行動ができています。実際に研修旅行へ行って、スタッフがいいと感じた7項目を基に『ディズニーランド宣言』をつくりました。私たちのお手本として、実践につなげています」(寄田氏)

 

ヨリタ歯科もまた、歯科業界で「あんなふうになりたい」とお手本になる存在である。歯科医院の見学数は年間100件以上に上り、さらに、寄田氏自ら全国を行脚し、ヨリタメソッドと予防歯科の普及に力を尽くしてきた。「うまくいく理由は、シンプルに『本気でやりたいかどうか』。地域性の違いなどネガティブな要因があろうと、うまくいくまで諦めないのが本気です。私が特別なのではなく、誰にでもできることなのですよ」と寄田氏は話す。

 

今後は、地域の高齢者施設への訪問診療に力を入れていくという。「大事な口腔ケアを、これからは来院できない人にも施そう、と。選ばれるために私たちからアプローチしていきます」(寄田氏)

 

子どもから女性、高齢者へ。ヨリタ歯科のスタッフが主役になる「感動・感謝・ワクワク」の舞台は、現在進行形で広がり続けている。

 

 

ヨリタ歯科クリニック 院長 寄田 幸司氏

 

 

Column

本気で臨めば人の心を動かす

給与明細書には毎月、自筆の手紙を書き添えるなど、寄田氏は自身の言葉をスタッフに伝えることにこだわっている。

 

「こんなことしたいな、と本当の自分の思いを伝えるようにしています。小さなことでもやり続けたら、みんなが『アイツは本気だ』と感じて、心のどこかに響くと信じています。本気でやる人がそこまで言うなら、やってみよう、となるでしょ?」(寄田氏)

 

「みんなで思いを1つに。仲間とともに、楽しみながら夢をかなえる」――。寄田氏が伝え続けた考えを、2003年、1人のスタッフが具現化した。「いつかチャレンジしたい」と夢を語ってきた通り、テレビ番組『世界ウルルン滞在記』に視聴者レポーターとして出演したのである。

 

そのスタッフは、ヨリタ歯科のスタッフたちが寄せ書きをした白衣を着て出演 選考会に臨んだ。見事、8013人ものライバルを押しのけ出演枠を勝ち取った瞬間、みんなの思いが1つになったという。それは、寄田氏が目指す「理想の医院」の姿にかなうものだった。

 

「『こんなことが起きるんだ』と、感動してさらにモチベーションが上がりましたし、自信にもなりました」(寄田氏)

 

 

PROFILE

  • (医)ゆめはんな会ヨリタ歯科クリニック
  • 所在地:大阪府東大阪市稲葉3-11-10 ピアザ花園3F
  • 創業:1991年
  • 代表者:院長 寄田 幸司
  • 売上高:6億円(連結、2019年6月期)
  • 従業員数:80名(連結、2020年8月現在)

 

 

 

 

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