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【特集】

ミッション経営

「道徳経済合一」。近代日本資本主義の父・渋沢栄一の経営哲学は、今なお多くの企業家のポラリス(北極星)として輝き続けている。ミッションを掲げ、より良い社会の実現に取り組む事例から、持続的経営を可能にする組織・風土づくりを学ぶ。
2020.11.18

「note」に託した思いが消費者の心を捉える
キリンホールディングス


2020年12月号

 

 

「note」で発信された投稿コンテスト。多くのユーザーから応募があり、「#また乾杯しようでは4000件以上の作品が集まった

 

 

大きな反響を呼んだ「#社会人1年目の私へ」

 

キリンHDがnoteを開設して約1年半。その間にユーザーを巻き込んだ事例が複数できている。例えば、note開設初期に行われた「#社会人1年目の私へ」は、社会人1年生を対象としたプロモーションから生まれた企画だった。しかし、単に「社会人のスタートへのお祝いとしてビールを飲もう」では彼・彼女らの心に響かない。そこでnoteを活用した寄稿型の企画を考案し、社会人1年生に向けたメッセージとして展開した。

 

「私としては、社会人1年目の方に寄り添いたいという思いがあったので、不安の中で学生から社会人として新しい生活をはじめる方の背中を押すような企画にしたかった。そこで1年目の社会人を直接応援するのではなく、キャリアの長い社会人が1年目当時の自分に向かって手紙を書く形で、間接的に社会人1年目の人たちへエールを送る場にしようと考えて企画しました。反響は大きく、初めて社会人になる方々に確実に響いたと感じています」(平山氏)

 

「#社会人1年目の私へ」は社内外から約3000件の応募があり、Twitterでは「キリンがこんなことをやっているよ」と拡散され、約1300万人が閲覧したという。

 

社会人1年目の人々を応援するという同社の企業姿勢は、確実に若者たちに伝わり、企業イメージの向上というアウターブランディングにもつながっている。

 

 

モチベーション向上につながった社員の投稿

 

キリンHDは他にも、今夏開催した「#また乾杯しよう」という投稿コンテストにおいて、初めて社員が寄稿するリレー企画を行った。コロナ禍の中で、大切な人たちと直接会ってグラスを傾ける機会がなくなった時、乾杯を通して人とのつながりの大切さを考える企画として発案されたものだ。この投稿コンテストには、社員たちの乾杯にまつわる出会いや思い出などがいくつもつづられている。

 

「自分自身の原稿がコンテンツとして社会に発信され、多くの方に読まれたという経験によって、協力してくれた社員たちの意識が変化しました。また書きたいと言ってくれる社員も多いので、noteで情報を発信し、多くの人たちとつながることの喜びを実感しているのだと思います。そういう意味では、社員のモチベーション向上に大きな効果があったと感じています」(平山氏)

 

オウンドメディアとしてのnoteは、インナーブランディングにもつながると分かる。また、投稿していく中で社員一人一人の「思い」がコンテンツになるわけだが、社内にある「思い」を発掘していくのも、オウンドメディアの運営者の仕事となる。平山氏はある方法を使い、社員の思いを掘り起こしたという。

 

「発信したいことを私宛ての手紙として書いてもらっています。noteは素直な気持ちが届くメディアだと感じているので、相手に気持ちを伝えるのは手紙が一番良いと思います。社員からいただいた手紙を読み、私が心を動かされたものを取り上げてnote上に発信するわけです」(平山氏)

 

 

 

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