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【特集】

ミッション経営

「道徳経済合一」。近代日本資本主義の父・渋沢栄一の経営哲学は、今なお多くの企業家のポラリス(北極星)として輝き続けている。ミッションを掲げ、より良い社会の実現に取り組む事例から、持続的経営を可能にする組織・風土づくりを学ぶ。
2020.11.18

「note」に託した思いが消費者の心を捉える
キリンホールディングス


2020年12月号

 

 

自社のコンテンツを投稿できるメディアプラットフォーム「note(ノート)」を自社オウンドメディアの1つに採用し、ビールにまつわる物語などを発信するキリンビール。ビール好きのファンからの共感を呼び、コミュニティーの輪が広がっている。

 

 

note キリンビール

https://note-kirinbrewery.kirin.co.jp/

 

 

「モノ」ではなく「コト」を「note」で発信

 

「#社会人1年目の私へ」「#あの夏に乾杯」「#また乾杯しよう」——。これは飲料事業を手掛けるキリンホールディングス(以降、キリンHD)が運営する公式アカウントの1つである「note」で発信された投稿コンテストのハッシュタグの一部だ。これらのコンテストにはユーザーから多くの投稿が寄せられ、それぞれのテーマに沿った思いの込もった文章がつづられている。読んでいるとなぜかホッとしたり、穏やかな気持ちになる。しかし、これらのハッシュタグには、「キリン」の文字は一切見られない。

 

noteは、クリエーター(作り手)が文章や漫画、写真、音声を投稿でき、ユーザー(読み手)はそのコンテンツを応援できるメディアプラットフォームだ。若いクリエーターが多く活用するウェブメディアとしても知られている。

 

同社がnoteに公式アカウントを開設したのは2019年4月。それまでにも、InstagramやTwitterなどの公式アカウントを持ち、自社商品やキャンペーンなどの情報をSNSで発信してきた。しかし、同社のnoteのコンテンツは、他のメディアで発信する情報とは大きく異なり、自社商品の情報はほとんどない。例えば、「#また乾杯しよう」のハッシュタグが付いた記事では、ビールは登場するが「モノ」としてのビールではなく、ビールにまつわる出来事や思い出といった「コト」を中心に描いている。

 

同社が持つオウンドメディアの中でも一味違った味わいを出す、キリンHDのnote。その誕生の背景を、仕掛け人であるコーポレートコミュニケーション部の平山高敏氏はこう解説する。

 

「当社がnoteを開設した時期は、オウンドメディアの限界についてささやかれ出した時期でした。その一方で、トヨタ自動車が自社メディアである『トヨタイムズ』で経営ビジョンや開発者の思いを伝えたり、ユニクロが季刊誌である『LifeWear Magazine』を通して服作りへの思いを伝え始めました。私も、商品広告では伝え切れないビールづくりに対する思いを発信していきたいと考え、選んだメディアがnoteだったのです。

 

当社は同業他社に比べ、若い世代へのアピールが今一つ足りない面がありました。そういった点を考慮すると、若い世代が積極的に使っているnoteがベストだと判断しました。私自身もnoteユーザーで、その良さは実感していましたから」

 

noteはユーザー同士を結ぶソーシャル機能が充実しており、「note pro」を使えば独自のドメインやデザインのカスタマイズも可能となる。法人は月額5万円から使用でき、コストメリットも大きい。

 

 

noteが提供するメディアプラットフォーム「note 」。文章、画像などの投稿機能で、さまざまなジャンルの記事をつくることが可能。また、お気に入りのアカウントをフォローしたり、好きな記事にコメントを残してクリエーターと交流ができる

 

 

 

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