TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

ミッション経営

「道徳経済合一」。近代日本資本主義の父・渋沢栄一の経営哲学は、今なお多くの企業家のポラリス(北極星)として輝き続けている。ミッションを掲げ、より良い社会の実現に取り組む事例から、持続的経営を可能にする組織・風土づくりを学ぶ。
2020.11.18

お菓子を進化させるメディアとして業界に貢献できる情報を発信:BAKE

作りたてのおいしさを常に提供できる工房一体型の店舗(左)。料理研究家の栗原心平氏を招いてファンイベントを開催。BAKEはこうしたイベントも「(リアルの)オウンドメディア」と位置付けている(右)

 

 

長期的な視点で「お菓子の進化」に寄与できる情報を発信

 

同業他社やコラボ先の取り組みまで発信するTHE BAKE MAGAZINE。その編集方針は、「お菓子を、進化させる。」というBAKEが掲げるミッションの具現化でもある。自社以外の考え方や取り組みを紹介することで、業界全体の活性化を図る狙いがある。

 

「当社の事業規模が拡大したことで、業界に与える影響も大きくなりました。そこで、商品づくりに対する思いはもちろん、新しい製菓業界の在り方として、例えば無店舗ビジネスといったフードイノベーションやテクノロジーの活用など、新しい切り口を取り上げるコンテンツを展開していきたいと考えています。また、消費者の方々の健康志向やSDGsへの関心の深まり、コロナ禍による生活スタイルと価値観の変化が起こっているので、そうした今のニーズにマッチした情報発信を行っています」(真鍋氏)

 

現在、THE BAKE MAGAZINEの運営は、広報部門のスタッフ2名が兼務して行う体制である。広報部門はコーポレートサイトやFacebookなどの公式アカウントの運営も行っており、THE BAKE MAGAZINEは今まで以上に企業ブランディングとしての側面が強くなった。今後もオープンイノベーションというコンセプトで多彩なコンテンツを発信していくという。

 

一方で、変化させてはならない点として、真鍋氏は3つのポイントを挙げる。「目的を明確にする」「短期での効果を期待しない」「無理をしない」だ。

 

「自社の成長に合わせて役割は変えましたが、一貫して変えなかったのが、その都度、THE BAKE MAGAZINEの目的をはっきりさせてきたことです。誰が、誰に対して、どのように、何を伝えるのかを明確に編集しています。その上で、短期的な売り上げ増などの効果を期待するのではなく、多くの方々に当社のファンになっていただけるように、商品づくりに対する姿勢や情熱を伝えてきました。そのため、特にPV(ウェブページの閲覧数)や滞在時間といった評価指標は設けていません。

 

無理をしないことも重要です。オウンドメディアを運営していると、更新頻度などが気になって発信しなければならないという意識が強くなり、本当に発信すべき内容なのかを吟味することがおろそかになりがちです」(真鍋氏)

 

「無理をしてしまう」のは、オウンドメディア運営で陥りがちな落とし穴だ。情報発信の頻度や量にこだわると、コンテンツの質が下がり、自社ブランドのイメージを損なうことにもなりかねない。社内の各部門とコミュニケーションを取りながら、発信すべきリソースを常に把握しておくことも、オウンドメディア運営の重要なポイントである。

 

自社と消費者・取引先を、あるいは経営者と従業員をつなぐ重要な機能を持つオウンドメディア。BAKEの取り組みは、目的を明確にし、伝えるべき情報を精査し、伝えたい相手に確実に届くように発信するという鉄則を再認識させてくれる。

 

 

BAKE 企業広報室 室長 真鍋 順子氏

 

 

PROFILE

  • (株)BAKE
  • 所在地:東京都港区白金台3-19-1 興和白金台ビル
  • 創業:2013年
  • 代表者:代表取締役社長CEO 山田 純平
  • 従業員数:1372名(アルバイト含む、2020年9月現在)
1 2
ミッション経営一覧へ特集一覧へ特集一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo