TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

ポストコロナ時代の働き方

テレワークやジョブ型雇用など、働き方や雇用が変化し始めている。ポストコロナの「真の働き方改革」とは何か。企業の持続可能性や人が働くことの意味をあらためて探る。
2020.09.30

効率的に最大限の成果を生み出す働き方
誰がどこにいても仕事ができる
日本HP


2020年10月号

 

 

出社制限中の本社オフィス。
あちこちの座席にマークが付き、1.8mのソーシャルディスタンシングを徹底し、16名用の会議室も利用は3名までに制限している

 

 

フルリモート化で「内」のコミュニケーション環境を整備

 

新型コロナ禍においては、2月末に週5日のフルテレワークへ移行した。「HPはグローバルに、社員やお客さま、パートナーの安全を第一と考えています。当社も、出社時は上司の承認が必要で、業務上不可欠なケースに限定し、出社する社員は1割以下です」(2020年8月現在)と日本HP広報部マネジャーの川邑和代氏は話す。3月実施のアンケート調査では、「仕事の効率は下がらない」とテレワークを肯定する回答が9割を占め、出社を希望する従業員は少なかった。

 

「『通勤がなくなり楽になった』『時間を有効に使える』とポジティブな声が多いです。派遣社員もほぼ100%テレワークです。PC持ち出し時のリスクを懸念してこれまで同意しなかった派遣会社も、今回は非常事態ということで合意できました」(羽鳥氏)

 

一方で、これまでの業務がうまくできない場合もあった。製品開発やテストを担当する社員は、技術支援やデータ分析など、リモートで可能な業務に限定され効率が低下した。

 

製造業ならではの課題も見えてきた。テレワークの急速な普及により、PCの需要が高まる中での工場運営だ。日本HPの東京ファクトリー&ロジスティックパーク(日野市)は、国内のガイドラインに準じた安全対策を実施した上で生産を継続。出退勤時に検温とアンケートを行って記録化している。マスクや消毒に加え、工場ラインに飛沫感染防止シートをしつらえ、一部スタッフはフェースシールドも着用。昼・夜勤のオペレーター交代を1.5時間空けるシフトに変え、接触機会をなくす工夫も凝らした。

 

全社的な業務管理や育成指導のマネジメントも対面だったが、2020年3月以降はZoomを活用。マネジャーが対話の数を増やし、チームミーティングでは本題に入る前に「最初の10分は雑談しましょう」と呼び掛けた。羽鳥氏が統括する人事・総務部門も、「仕事の話はしない」を基本に、Zoomで雑談する「オンラインティータイム」を開催。新入社員の孤立を防ぐ「歓迎ティータイム」も開始した。社員育成のトレーニングは、eラーニングなどを活用し、在宅でのリモート学習が可能になっている。

 

テレワークに慣れ親しんできた同社。きっかけは、交通機関の乱れや計画停電で出社制限を余儀なくされた東日本大震災だった。その姿は、新型コロナ禍で初めてテレワークと本格的に向き合う多くの企業にとって、良き先例となる。

 

「心配していたことが実はそんなに大きな問題じゃない。オフィスに縛られない働き方も思ったよりできるものだ。いや応なしにでもテレワークをやってみて、そう気付いた企業も多いはずです。私たちがそうでしたから。『コミュニケーションは工夫すればできる』というのが、私にとって最大の気付きでした」(羽鳥氏)

 

 

 

1 2 3
ポストコロナ時代の働き方一覧へ特集一覧へ特集一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo