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【特集】

ポストコロナ時代の働き方

テレワークやジョブ型雇用など、働き方や雇用が変化し始めている。ポストコロナの「真の働き方改革」とは何か。企業の持続可能性や人が働くことの意味をあらためて探る。
2020.09.30

個人の自律と主体性を伸ばす制度設計で
ニューノーマル時代の働き方改革を目指せ
リクルートワークス研究所


2020年10月号

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発出によって、急速に広がったテレワーク。ポストコロナにおける働き方の可能性と、それに対応する制度設計の在り方について、リクルートワークス研究所の所長・奥本英宏氏に聞いた。

 

 

コロナ禍で急拡大するテレワーク

 

内閣府が公表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2020年6月21日)によると、全国で就業者の34.5%がテレワークを経験したと回答。さらに、日本経済団体連合会(経団連)の「緊急事態宣言の発令に伴う新型コロナウイルス感染症拡大防止策 各社の対応に関するフォローアップ調査」(2020年4月21日)の結果からは、新型コロナ対策としてテレワークを実施した企業は97.8%、そのうちテレワーク勤務者の割合が5割以上の企業は72.7%に上るなど、テレワークが短期間で急拡大した様子がうかがえる。

 

これまで幾度も導入が議論されながらも限定的な運用にとどまっていたテレワークだが、大混乱の中で多くの企業が実現できた要因はどこにあるのか。リクルートワークス研究所の所長である奥本英宏氏は、その背景の一つとして「2019年の『働き方改革関連法』施行を含め、これまでの働き方改革への取り組みが下地となった」と指摘する。

 

同関連法では、長時間労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、フレックスタイム制や裁量労働制の対象業種の見直し、「高度プロフェッショナル制度」の創設、2020年4月施行の「同一労働同一賃金」義務化(中小企業は2021年4月)など、雇用形態によらない公正な処遇に向けた取り組みが進められている。

 

「一連の改革には二つのテーマがあります。一つは、長時間労働の削減や処遇の均等・均衡といった最低限の就労条件の整備。それによって1人でも多くの働き手が社会に参画しやすい環境を整えることです。もう一つが、働く場所と時間の選択。個人の希望や志向、家庭の事情に合わせた働き方の選択の実現です。特に、コロナ禍では後者が大きく前進しました」(奥本氏)

 

 

テレワークに潜むマイクロマネジメントの危険性

 

そうした働き方の変化によって今、何が起きているのか。奥本氏が指摘するのは、「『働く場所』『仕事の任せ方、進め方』『働くことや仕事そのもの』に対する意識変化の兆し」だ。

 

「働き方改革ではこれまで、働く時間に焦点が当てられていました。しかし、コロナ禍で働く場所への意識改革が格段に進んだと見ています。テレワークが広がる中、場所に縛られていた固定観念が揺らぎました。これが今後の人事施策などに大きく影響を及ぼすと考えています」(奥本氏)

 

だが、同時に見えてきたのは職務や経験に応じたリモートマネジメントの難しさだ。成果が上がる仕事のやり方を確立している社員の多くがテレワークでより生産性を上げる一方、経験の浅い新人や他部署との連携が欠かせないアシスタントからは戸惑いの声も少なくなかった。テレワークはマネジャーのマネジメントスキルによる差が生まれやすく、仕事の指示が適切になされず時間を浪費するメンバーや、メンバーに過度な報告やチェックを求めるマネジャー、完全に放任するマネジメントの放棄といった状況が散見された。

 

特に注意すべきは、細かく管理するマイクロマネジメントに陥りやすい点だ。なぜなら、緻密すぎるマネジメントは、部下の仕事に対する姿勢を受け身にしてしまい、チームワークの低下やマネジャーの負担増大、組織力の低下をもたらすからである。

 

「もともと働き方改革で求められていたのは、勤務時間と勤務地の多様性を踏まえたダイバーシティーマネジメントです。一人一人に向き合いながら社員の主体的な取り組みとチーム力を促進するマネジメントへの転換が、ここにきて喫緊の課題となっています」(奥本氏)

 

 

 

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