人手不足や煩雑な業務を改善する
物流業界のAIソリューション
Automagi(オートマギ)
2020年8月号
消費社会を下支えする物流業界は、コロナ禍においても正常に機能することで人々の生活を守っている。サステナブルな物流を支えるAIソリューションの在り方を探る。
新型コロナウイルスの感染拡大により観光、飲食、航空業界などの業界がひっ迫する中、物流業界は一部の工場停止などでBtoB物流がやや停滞傾向にあったものの、巣ごもり需要などのネット通販の利用増加で、BtoC物流は拡大傾向にある。そんな物流業界に対して、AIを活用したソリューションを提供しているのがAutomagiだ。同社はもともと、通信キャリア事業者の受託開発業務を行っていたが、AIの登場により自社サービスの開発に着手し、AIを活用したビジネスに乗り出した。そして開発されたのが、「AMY(エイミー)」と呼ばれるAIソリューションサービスである。
AMYは、「自然言語の解析」「データの解析」「画像・動画の解析」という3分野の技術が活用されている。自然言語の解析では、チャットボット(対話を行うロボット)の自動応答サービスなどに活用され、主に金融機関のコンタクトセンターなどが挙げられる。データ解析では膨大な情報を解析、活用して製造業におけるカビや腐食防止の早期発見などに役立てている。そして、同社が最も力を注いでいるのがAI画像・動画解析ソリューションシステム「AMY INSIGHT(インサイト)」だ。
「画像・動画を解析し人的作業をAIが行うシステムで、現在は電力業界と物流業界を対象にしています。実は当社がAI開発に乗り出した当時、金融やサービスなど多くの業界ではすでにAIソリューションが実施されていましたが、電力業界と物流業界はインフラを支える重要な業界であるにもかかわらず、まだITやAIによって自動化されている部分が極めて少ない領域でした。そこで、二つの業界に絞りAIによってどんなソリューションが可能なのかをリサーチし、サービスを開発してきました」
そうAI画像・動画解析ソリューション事業の背景を説明するのは、AutomagiのAIビジネス部副部長でAMY INSIGHTの責任者である和田龍氏である。
電力業界向けとしては、まず、送電線の鉄塔や橋脚などのさびの状況を写真や動画から把握する技術を開発。現在は徐々に実導入も増えており、有資格者が目視で行っていた検査を自動化することで大幅な業務効率化に貢献している。
AI画像・動画解析
ソリューションシステム活用事例
冷蔵倉庫でのカメラ映像分析

冷蔵倉庫内の監視カメラの映像をもとに、カゴ車・パレット・フォークリフト・段ボールを個別に認識。動きを追跡・分析できる
荷姿のサイズを簡単に測定

スマートフォンやタブレット端末で荷物を撮影するだけで、対象物の輪郭を自動的に取得。現在は直方体の定型荷物に限り90%以上の精度での測定を実現
さびの発生を画像から検知

塔や橋梁などを撮影した画像、監視カメラの映像から、さびの発生検知と領域特定を判定。また、さびの領域ごとに細かく腐食の度合いの判定も数値化できるため、ある程度の腐食が進んだ段階で検知することも可能