TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

持続可能な経営

SDGs(持続可能な開発目標)の認知はかなり進んだ。しかし、CSR(社会的責任)やコミュニケーションとしての活動にとどまっている企業も多い。社会課題解決と企業利益の両方を追求するビジネスモデルを構築し他企業に「サステナブル経営」を学ぶ。
2020.06.30

企業やボランティアと連携し融資と互助制度で貧困からの脱却を支援する
グラミン日本


2020年7月号

 

 

申し込みから融資までの流れ

 

 

互助制度や学習環境など融資以外の支援も充実

 

グラミン銀行は継続的な融資だけでなく、自立を促す仲間づくりやスキル習得の支援も行う。例えば、グラミン銀行最大の特徴とも言える「互助制度」がある。似た境遇で同じ目標を持つ5人が1組になり、励まし合いながら目標に向かう制度だ。グループで1人ずつ順番に融資されるため、1人の返済が滞ると他の人は融資を受けられない。連帯責任が生まれ、それが高い返済率を生み出している。また、貸し手側からだけでなく仲間からも指摘を受けることで、自立に当たって視野が狭くなり独走的になるのを防ぐ。

 

「当法人が貧困層を対象にした単なる融資機関でないのは、さまざまな支援がある点にあります。特に5人1組の互助制度は、孤立しがちなシングルマザーや若年層のワーキングプアの『仲間づくり』という側面で大きな役割を果たしています。週に1回、当法人で不安や将来の目標を語り合うことで、就業や起業に向けた意欲を高めています。また、安定した収入が得られ、働きやすい環境が整っている企業への就業支援も同時に行っています。支援対象者はシングルマザーの方が多いので、D&Iに理解がある企業で働けるよう、企業発掘を行っています」(百野氏)

 

 

支援対象者の多くは専門職を目指す

 

支援の流れは、まず融資希望者が説明会に参加し、仮申し込みを行う。その後、自らメンバーを集めて5人1組のグループを形成する。融資の使用用途・返済期間などの妥当性を確認するとともに、金融リテラシーや起業ノウハウなどを学習。家庭訪問を行った後、借り入れという流れで、期間は1~2週間ほどだ。同法人のスタッフが家庭訪問を行うのは、申告内容と現実生活との乖離がないか確認する意味合いもある。

 

初期の融資額は上限20万円。これを、就業や起業のためのスキル習得や資格取得の費用に充てる。起業する場合は、事業の進捗状況に応じて追加融資を行うなど、継続的に支援する。

 

「支援対象者は、介護士や保育士、ファイナンシャルプランナーなどの資格が必要な専門職を目指す方が多いです。そのような方は、融資を資格取得のための資金として活用し、安定的な収入が得られる企業への就業を目標としています。起業を目指す方も分野はさまざまです。ネイルサロン、輸入雑貨ショップ、ヘッドスパなどの店の経営を目指す方から、フリーランスでイラストレーター、フォトグラファー、ライターなどの専門職を目指す方も多いですね。これらは資格が必要ないものの、専門的な技術や人的なネットワークが必要ですから、そうした職業に就けるノウハウを伝えています」(百野氏)

 

2020年4月現在、同法人の支援対象者は、融資を受けて資格取得や起業準備の段階だという。今後は、同法人から就業や起業する人が多く輩出され、支援対象者の目指す職業は広がる。そのためにも、各分野に精通した多彩な教育人材が必要になる。同法人ではボランティアスタッフを募集しており、現在100名前後のスタッフが自立に向けた支援を行っている。

 

 

※ダイバーシティー&インクルージョン。個人のさまざまな違いを受け入れ、個々の能力やスキル、経験、強みを最大限に生かせる環境を提供すること

 

 

目指す姿:会員企業による貧困層支援を持続させる仕組みの構築

 

 

 

1 2 3
持続可能な経営一覧へ特集一覧へ特集一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo