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【特集】

持続可能な経営

SDGs(持続可能な開発目標)の認知はかなり進んだ。しかし、CSR(社会的責任)やコミュニケーションとしての活動にとどまっている企業も多い。社会課題解決と企業利益の両方を追求するビジネスモデルを構築し他企業に「サステナブル経営」を学ぶ。
2020.06.30

開発途上国でマイクロファイナンス機関を経営
目指すは「民間版の世界銀行」
五常・アンド・カンパニー


2020年7月号

 

 

ミャンマーのグループ会社の従業員と五常・アンド・カンパニー本社のメンバー。現地法人の運営は基本的に現地スタッフが行う

 

 

貧困などの理由で銀行口座を保有できない成人人口は世界で17億人。世界の4人に1人が金融システムにアクセスできていない現状がある。この大きな社会課題の解決を目指すのがファイナンス・インクルージョン(金融包摂)であり、SDGsの重要な柱の一つになっている。全ての人が金融サービスへアクセスできることを目指す事業に迫る。

 

 

開発途上国の低所得者層を支援するために起業

 

「誰もが自分の未来を決めることができる世界」。これが五常・アンド・カンパニーの掲げるビジョンである。日本も含め、世界には自分の意思で未来を切り開きにくい環境に置かれている人々が数多くいる。そうした人々に金融サービスを届けるため、開発途上国でマイクロファイナンス機関を展開しているのが同社だ。

 

同社の設立は2014年。起業したのは、モルガン・スタンレー・キャピタルを経てユニゾン・キャピタルに勤務していた代表取締役の慎泰俊氏である。

 

「私の祖父母は朝鮮半島が日本だった頃に日本本島にやってきました。孫に当たる私は『戦前に朝鮮半島から日本にやって来た人の子孫』ということで、今も国籍はありません。もちろん、特別永住権はあるので、たいていの権利は保証されているのですが、海外へ渡航する際などには不便を感じます。それ以外にも理不尽を感じることが多かったこともあり、生まれた属性でその人の運命が決まってしまう仕組みを変えたいと考えていました。

 

世界には自らの力で未来を切り開くのが困難な環境にいる人がたくさんいます。そんな人々にとってまず必要なのは生活に密着した金融サービスであるとの考えから、プライベート・エクイティー投資で金融プロフェッショナルとしてのキャリアを積む傍ら、2007年にNPO法人Living in Peaceを設立。そして、2009年に日本で初となるマイクロファイナンス投資ファンドをつくり、開発途上国の人々に金融サービスを提供するマイクロファイナンス機関へお金が流れる仕組みをつくりました」

 

その後、慎氏は32歳で五常・アンド・カンパニーを設立した。

 

社名の「五常」は、江戸時代の農政家である二宮尊徳(金次郎)が発足した「五常講」に由来する。「講」とは、仲間が少額のお金を出し合い、まとまった資金を必要とする人がそれを借りて事業を行い、返済する相互扶助の仕組み。今でいう信用組合のようなものだ。二宮尊徳は五常講を経営するに当たり、借り手に対して農政技術の伝承や経営指導も担ったといわれている。

 

その精神を現代に受け継いだ五常・アンド・カンパニーは、全ての開発途上国で経済的な独立を図りたい人々へ金融サービスを届けるために誕生した。

 

 

※未上場企業の株式の取得・引受を行う投資行為。成長が見込める企業に投資をし、企業価値を高めて売却する

 

 

 

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