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【特集】

持続可能な経営

SDGs(持続可能な開発目標)の認知はかなり進んだ。しかし、CSR(社会的責任)やコミュニケーションとしての活動にとどまっている企業も多い。社会課題解決と企業利益の両方を追求するビジネスモデルを構築し他企業に「サステナブル経営」を学ぶ。
2020.06.30

無添加石けんで「人にも環境にもやさしい」ことを
シャボン玉石けん


2020年7月号

 

 

 

 

地元・北九州市と「包括連携協定」を締結

 

SDGs宣言を経営の推進力とするシャボン玉石けんは、2019年12月、地元の北九州市と「SDGs包括連携協定」を締結した。同市は「SDGs未来都市」(内閣府)や「SDGsモデル事業」(内閣官房)に選定され、2017年には第1回ジャパンSDGsアワード「特別賞(パートナーシップ賞)」(SDGs推進本部)を受賞するなど、環境問題へ積極的に取り組んでいる。

 

「SDGsを広める上で、互いにとってメリットしかない。そう考えて『世間での認知度を高めるため、一緒に情報発信していきましょう』と当社から市に呼び掛け、快諾をいただきました」(森田氏)

 

環境問題へ積極的に取り組む北九州市とシャボン玉石けんは、以前よりさまざまな活動で連携してきた。少量の水で迅速に消火でき、消火後も環境負荷の少ない石けん系泡消火剤「ミラクルフォーム」を、北九州市消防局や北九州市立大学、古河テクノマテリアルとの産学官連携で開発。現在はこの技術を応用し、インドネシアの泥炭・森林火災用消火剤の普及実証実験に共同参画している。冒頭で紹介した「手あらいうた」も、北九州地域感染制御ティームの監修によるものだ。

 

包括連携協定で推進する活動は多面的だが、初年度は「防災・災害対策」「健康増進」「SDGsの推進」「ふるさと納税」の四つをスタートした。防災・災害対策は石けん系泡消火剤の開発・実証実験を継続。健康増進は、北九州市立八幡病院の医師や地場ドラッグストア、学校や自治会など広範囲な連携で感染症対策を推進。ウイルスを不活化する無添加石けんハンドソープ「バブルガード」を使用し、感染予防の手洗い教室を開催している。

 

「自治体と地域企業が連携したことで、『やりたくてもできなかったことが実現できた』との言葉をドラッグストアからいただきました。北九州市立八幡病院の院長・伊藤重彦先生は感染予防研究の第一人者でもあるので、つながりを深め、活動を広げていきたいと考えています」(森田氏)

 

さらに、SDGsの認知・理解促進に向けて、北九州市や朝日新聞社と「私のSDGsコンテスト」を共催。川柳・フォトの2部門に4710件の応募が集まった。地域貢献としては、ふるさと納税制度の返礼品を新たに開発し、市の財源確保に協力している。

 

国内屈指の炭鉱都市として栄えた北九州市は公害問題を、シャボン玉石けんは合成洗剤と決別し17年続いた赤字経営の危機を、どちらも乗り越えて転機に変えた共通点がある。パラダイムシフトや次代を見据えたアプローチに共感・共鳴し合える包括連携は、これからさらに実りあるものになろうとしている。

 

 

 

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