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【特集】

現場の自動化

これまで機械を使った自動化と言えば、工場の生産ラインが中心だった。しかし、いまや建築現場、医療現場、物流現場など、さまざまな現場・職場で自動化が進められている。人の仕事の質をさらに高めてくれる自動化技術を追う。
2020.04.30

料理やドリンクを作るサービスロボット
キュービット・ロボティクス


2020年5月号

 

 

 

 

サービスロボットが果たす役割は
「自動販売機以上、人以下」

 

「ビールサーバーやカフェマシンなど、人が使っている設備や環境を変えずにロボットがどれだけ動かせるか。当社が狙っているのはそこです」(中野氏)

 

専用のサーバーやマシンをそろえ、厨房ごと、あるいは店ごとロボット化するのは、ある意味で簡単だと中野氏は言う。例えば、製造工場における産業用ロボットはスムーズに動ける環境が整備されている。だが、それではシステムが複雑になり、故障箇所が増える上に投資も膨大になる。人との協働も難しい。

 

「産業用ロボットが動く現場は、アームを振り回してもぶつかる人はいないし、取り付ける部品も自動的に供給されます。作った物も自動で運ばれていく。しかし、飲食店でそんな環境は望むべくもありません。人にぶつかる前に安全停止し、人に代わって仕事ができる。そのためにロボットに何が求められるのか、知恵を絞っています」(中野氏)

 

もう一つの特徴は顔だ。アームの脇にはモニターが取り付けられ、極端に記号化された顔が表示される。目と、鼻か口か判別できない点が描かれただけで、イラストレーターの力を借りれば、もう少し表現力のある顔が作れそうだ。だが、この記号化された顔にこそ意味があると中野氏は力説する。

 

「これまでの経験から、人は機械に顔を付けるだけでコミュニケーションを取れる相手だと考えることが分かってきました。コミュニケーションが取れるというのは、ロボットと機械を分ける重要な基準です。カフェロボットと、コーヒーを抽出する自動販売機の違いは何かと聞かれたら、そこです。もちろん、現実に近い顔を表示させることもできます。しかし、余計な情報量が増えてしまう。いわゆる『キャラ』が立ってしまって、好き嫌いが出てくるでしょう。サービスロボットを普及させたい私たちにとっては、むしろ逆効果なのです」(中野氏)

 

将来的にも、アンドロイドのような人型ロボットを作ることは考えていないと言い切る。あくまでロボットは実用性、合理性に特化すべきというのが中野氏の考えだ。

 

「ロボットは人に取って代われるものではありません。ロボットと人のおもてなしは、明らかに質の違いがある。『自動販売機以上、人以下』という境界を追求していきたい」と、ロボットと人の協働への理想像を描く。

 

 

 

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