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【特集】

教え方×学び方改革

「学費ゼロ」「教員不在」「テスト不要」「少人数制大学」。こうした〝あり得ない学校〞やスクールがいま、日本で続々と誕生している。従来の教え方と学び方を大きく変える、最新の〝ガッコウ〞にアプローチする。
2020.03.31

仕事・学業と両立できるオンライン学習 現役エンジニアによるプログラミング家庭教師:コードキャンプ

 

 

講師の採用率は6%の狭き門

 

CodeCamp受講者の満足度は高い。会員向けのレッスン評価アンケート(2018年10~12月期)では、94.6%がレッスンに満足と答えている。リアルでの対面授業ではなく、オンラインでの受講という制約があるのに、なぜそこまで満足度が高いのだろうか。

 

「オンラインであることは、むしろメリットです。就業前でも、夜でも、土日でも、朝7時から夜11時まで自由に受講時間を選べますし、通えるスクールがない地域にお住まいでも、ネット環境さえあれば受講できます。しかも、講師は生徒と画面を共有できますから、コードが間違っていたらすぐに指摘できる。プログラミングの学習環境という意味では、理想的と言えるかもしれません」(堀内氏)

 

個別指導であることもCodeCampの強みだ。講師は、受講者一人一人のレベルに合わせて立ち止まったり、分かっているところは早足で駆け抜けたりと、効率的にカリキュラムを進められる。受講者は疑問があればすぐに質問できるので、習得前に挫折してしまうことも少なくなる。集合型の研修では、そこまでのきめ細い対応は望むべくもないだろう。

 

コードキャンプは講師の質にもこだわっている。

 

「当社の講師は、全員が現役のエンジニアです。この業界は技術の進歩が速いので、スキルがすぐに陳腐化してしまいます。そのため、常に最新の技術に触れているプロにのみ講師をお願いしているのです」(堀内氏)

 

最近は副業を認めるIT企業が増えたため、講師の成り手に困ることはないという。

 

もっとも、現役エンジニアであれば誰でもよいわけではない。

 

「エンジニアのスキルと教えるスキルは、必ずしも一致しません。自分よりスキルの低い人材に『どうしてそんなことも分からないの?』と声を荒げるエンジニアもいますが、それでは受講生がついていけない。初心者の気持ちが理解できる人材かどうか、模擬面接を行ってしっかりと審査しています」(堀内氏)

 

現在、講師採用率はわずか6%。この厳しさがレッスンの品質と顧客満足度の高さにつながっている。

 

 

プログラミングは今後一般教養になる

 

CodeCampの受講生は、ITエンジニアを目指す人ばかりではない。AI開発の基本を学ぶコースでは、現役の医師も学んでいる。

 

「がんの画像診断システムを自分で構築したい、というご希望でした。AIを活用すれば、これまで医師の“神の目”頼りだった初期がんを、より早く、正確に発見できるようになります。ただ、大手の医療システム会社もこぞって開発を進めているので、個人では太刀打ちできないでしょう。でも、AIの知識があればシステム会社の提案内容を理解できますし、開発コストも計算できるようになります」(堀内氏)

 

ITの知識やスキルがあれば、発注者・共同開発者として設計や見積もりを正しく判断でき、製品であるシステムの品質も高められる。

 

ITがさらに産業や生活に欠かせなくなる今後、「プログラミングの知識がゼロ」というのは「常識がない」に等しくなりかねない。実際、企業に勤めるIT技術職以外の社員が、ビジネス教養としてプログラミングを理解するために「テクノロジーリテラシー速習コース」を受講するケースも増えている。

 

「テクノロジーの時代を楽しむ人を増やすことで、社会全体の成長に貢献していきたい」と語る堀内氏。コードキャンプは、テクノロジー人材の育成によって社会の発展を足元から支える存在を目指し、自社の成長も加速させていこうとしている。

 

 

テクノロジーの時代を楽しむ人を増やすことで、
社会の成長に貢献していきたい

コードキャンプ 代表取締役CEO 堀内 亮平氏

 

 

Column

デジタル社会を生き抜く力を育てる「CodeCampKIDS」

コードキャンプは小・中学生を対象にした「CodeCampKIDS」も開講している。ロボットやゲームのプログラミングの基礎を、オンライン講座のほか、東京都内にある教室で学ぶことができる。2020年度から小学校でプログラミングが必修化され、2021年度には中学校、2022年度には高校でも必修化が始まるため、盛況が続いているという。

 

「プログラミングは、いわば未来の“読み書きそろばん”。誰もが身に付けなければならない一般教養になるでしょう。プログラミングに苦手意識のある先生や親御さんの代わりに最適な学びの機会を提供することで、子どもたちの個性を伸ばしたいと考えています」(堀内氏)

 

 

 

 

PROFILE

  • コードキャンプ㈱
  • 所在地:東京都新宿区西新宿7-22-35 西新宿三晃ビル4F
  • 設立:2012年
  • 代表者:代表取締役 CEO 堀内 亮平
  • 社員数:22名(アルバイト・出向含む、2020年1月末現在)
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