大企業からベンチャー企業へ人材をレンタル移籍
他社での経験がゼロから1を生み出す
ローンディール
2020年4月号
ローンディールフォーラム

毎年開催している大規模イベント。個人の活躍や組織の活性化をテーマとしたセッションを行い、毎回250名超が参加している
大企業からベンチャー企業へのレンタル移籍期間は6カ月から12カ月。移籍者はベンチャー企業で、フルタイムで働くことになる。マインドセットや育成には最低でも半年、できるなら1年は必要という認識から、ローンディールは1年間のレンタル移籍を推奨している。
これまでにLoanDEALで社員のレンタル移籍をした大企業には、パナソニック、経済産業省、オリエンタルランド、西日本電信電話、日本郵便などが名を連ねる。一方、受け入れ先のベンチャー企業は約300社に上り、AIなど先端技術開発に挑むIT系から航空・宇宙、教育、農業など幅広い分野に及ぶ。
では、大企業の社員とベンチャー企業をどのようにマッチングさせているのだろうか。
「当社の担当者が直接お会いして個別面談を行っています。レンタル移籍先の決め方については、社員を移籍させる企業の狙いもあるのですが、基本的には本人の意思を何よりも大切にしています。社命だから従うという消極的な姿勢では、移籍しても良い結果が望めません。本人がどんな思いを抱いてベンチャー企業で働きたいのかをヒアリングしながら移籍先を絞っていきます」(後藤氏)
移籍先の絞り込みで特筆すべきことは、LoanDEALのアドバイスの在り方だ。レンタル移籍を希望する大企業は、多くが自社の事業と類似する業種のベンチャー企業を選ぶ傾向にある。しかし、LoanDEALは移籍先をできるだけ現在の業務と関連性のない、異なる文化を持つ企業を推奨している。
例えば、数千万円の製品を製造・販売する企業から1ダウンロード当たり数百円のアプリを開発するビジネスを立ち上げたベンチャーへ、あるいは技術シーズ※でものづくりをしていた企業からより顧客の近くでサービスを展開する企業への移籍など、180度違う環境に身を置くことで、新たな気付きを得ることができるという。
※研究開発や新規事業創出を推進する上で必要となる発明(技術)や能力、人材、設備などのこと