大企業からベンチャー企業へ人材をレンタル移籍
他社での経験がゼロから1を生み出す
ローンディール
2020年4月号
人材をベンチャー企業へ一時的に出向させ、実践的な経験を積ませる「レンタル移籍」を提供するローンディール。イノベーションを起こせる人材や、組織に変革を起こすことができる次世代リーダーの育成を目的に、大手企業30社以上が活用している。
LoanDEAL(ローンディール)
人材をベンチャー企業の事業開発に参加させ育成する

※レンタル移籍は、出向契約または研修派遣契約によって実施
「レンタル移籍」とは、サッカーなどのプロスポーツにおいて選手が現在所属しているクラブとの契約を保持したまま、期間を定めて他のクラブへ移籍する制度のこと。このユニークな仕組みを企業間で取り入れる「企業間レンタル移籍プラットフォームLoanDEAL(ローンディール)」を運営するのが、原田未来氏が代表取締役を務めるローンディールである。
「当社を立ち上げた原田が自身の経験をヒントに生んだサービスです。原田は大学卒業後に創業期のベンチャー企業に就職し、株式上場に貢献。新規事業を任されるまでになりました。しかし、『この会社しか知らないままでいいのか』『自分が他社でどの程度通用するのか』といった思いが強くなり、13年間勤務した会社を思い切って退社しました。しかし、外に出てみると会社の良さや改善点が見えてきたのです。そこで、会社を辞めずに外を見る機会をつくれば会社も個人もより良くなると考えたのが、当社設立のきっかけでした」
ローンディールの最高執行責任者である後藤幸起氏は創業の背景をそう説明する。LoanDEALは、半年から1年程度の間、大企業などの人材をスタートアップ企業へ派遣し、事業立ち上げの経験を積んで自社に戻す人材育成サービスである。利用料はレンタル移籍者を送り出す大企業と受け入れるベンチャー企業の双方が負担。毎月1人当たり20万円(税抜き)をローンディールに支払い、レンタル移籍者の給与は大企業側が持つ仕組みだ。レンタル移籍する社員の年齢は20歳代後半から50歳代と幅広いが、ある程度の経験があり、柔軟性を持ち合わせた30歳代前半が多いという。
現在、原田氏が当初に思い描いた開発コンセプト通り、大企業の社員がベンチャー企業で働くことで、自分を見つめ直したり、仕事の進め方を考え直したりする意識改革や、大企業内での新事業創出や組織改革を起こすスキルを磨く手段として利用されている。
また、レンタル移籍が実現する人材育成とイノベーションのエコシステム構築において、2018年度の第1回日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞を受賞。企業のマッチングだけでなく、メンターがレンタル移籍者に伴走して成長を支援する仕組み※も高く評価された。
※ローンディールのメンターがマンツーマンで相談に乗りアドバイスを行う。このフォローは移籍中から復職後3カ月まで継続される