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【特集】

「新しい食」をつくる

日本の伝統的食文化である「和食」が世界で人気だ。しかし、その発信源である日本では「和食離れ」が進んでいる。伝統を守り継ぐだけでなく、新しい食文化の創造も重要だ。新しい食の開発で先行する企業の取り組みを追った。
2020.02.28

外食・中食事業者と消費者をつなぐ。廃棄食品を「レスキューする」サービス:コークッキング

 

「TABETE」で取り扱う商品の例。参加企業は東京都内だけでなく、埼玉、神奈川、石川、静岡、愛知、
大阪と、全国に拡大中だ

 

 

問題意識の高まりが追い風となって全国にサービス拡大中

 

現在、TABETEが掲載するレスキュー商品は、250~680円(税込み)の価格帯で出品することが義務付けられている。あくまでもフードロスをなくすためのサービスであるため、消費者が求めやすい値頃な価格設定にするためだ。レスキュー商品を購入するユーザーは、おおむね定価の2、3割引で手に入れることができる。

 

TABETEの収益は、商品が売れたら飲食店から1個当たり150円(税込み)の手数料を得るという仕組み。売り手である店舗、買い手のユーザー、そして社会や環境にも良い「三方よし」のビジネスモデルと言える。

 

サービス開始から2年足らずで、確実に実績を伸ばすTABETE。東京都内から始まった同サービスは、地方にも展開している。現在では石川県金沢市をはじめ、静岡県浜松市、愛知県名古屋市でもサービスがスタート。参加店舗数は数十店舗と東京に比べるとまだまだ少ないが、今後は各都市への広がりが期待できるという。

 

「ある程度の数の店舗に協力していただかないと、ユーザーもレスキュー商品を選ぶことができません。そこで、協力していただける店舗数が一定数そろっているエリアでサービスを開始しています。将来的には政令都市をはじめとした地方の主要都市でサービスを提供し、フードロス軽減に少しでも貢献できたらいいなと考えています。フードロスに対する問題意識が全国的に高まるなど、追い風を感じています」(川越氏)

 

最近、特に増えているのが地方自治体からの問い合わせだという。2019年10月に施行された「食品ロス削減推進法」によって、各自治体も体制強化に乗り出している。特に自治体ではフードシェアの仕組みを確立し、ごみを削減できるよう本格的に取り組む必要がある。そうした背景を考えると、今後さらにTABETEが普及していく可能性は高い。

 

「現在のサービスは、店舗から出るフードロスの削減に微力ながら貢献しています。しかし、フードロスは生産現場でも大量に起こっているので、将来的にはそれを軽減できるような新しいサービスを構築したいと考えています。例えば、既存の流通では扱えない規格外野菜を直接消費者に提供できるような流通システムを構築できれば、生産現場でのフードロスは減少するはずです」(川越氏)

 

生産者にとって従来の流通では商品にならなかった野菜が販売でき、消費者も低価格で商品を購入できれば双方にメリットが生まれる。川越氏は今後のTABETEのサービスについて、そんな構想を描いている。

 

 

「おいしい」「お得」「いいこと」という三つの要素が、
TABETEが支持される理由だと考えています

コークッキング 代表取締役CEO 川越 一磨氏

 

 

PROFILE

  • ㈱コークッキング
  • 所在地:東京都港区南麻布3-3-1 麻布セントラルポイントビル3F
  • 設立:2015年
  • 代表者:代表取締役CEO 川越 一磨

 

 

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