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【特集】

「新しい食」をつくる

日本の伝統的食文化である「和食」が世界で人気だ。しかし、その発信源である日本では「和食離れ」が進んでいる。伝統を守り継ぐだけでなく、新しい食文化の創造も重要だ。新しい食の開発で先行する企業の取り組みを追った。
2020.02.28

外食・中食事業者と消費者をつなぐ
廃棄食品を「レスキューする」サービス
コークッキング


2020年3月号

 

 

店舗で廃棄予定の食品をスマートフォン上に掲載し、お得な価格でユーザーに提供する「フードシェアリングサービス」が広がっている。フードロス削減に貢献する同サービスの仕組みとは――。

 

 

スマートフォンから簡単に廃棄予定の食品が購入できるTABETE。値引き額や残り個数 なども表示され、使いやすい

 

 

フードロス削減を広げるためマッチング事業を立ち上げた

 

仕事終わりにスマートフォン(以降、スマホ)のアプリを起動させ、お気に入りに登録した店の中から「レスキュー商品」を閲覧。食べたいと思ったものがあれば、購入して帰宅途中に店舗へ寄って受け取る。支払いは事前にスマホで済ませるため現金を用意する必要もない。帰宅すればおいしい料理が定価よりも安く楽しめる。そんなフードシェアリングサービス「TABETE(タベテ)」が注目されている。

 

「TABETE」ユーザーは、21万人(2020年1月現在)。その内訳は20~30歳代前半の女性が4割、30歳代後半~40歳代前半の女性が2~3割、40歳代後半以上の女性が2割程度といったように、若い女性が中心だ。

 

「ユーザーは働いている方がほとんどです。日頃から仕事が忙しくてなかなか料理を作る時間がないという方が利用しています。プロが作ったおいしい食事を安く食べられ、しかも廃棄する料理をレスキューする、つまり助けることで社会に対していいことをしている。この『おいしい』『お得』『いいこと』という三つの要素が、TABETEが働く女性から支持される理由だと考えています」。同サービスを運営するコークッキング代表取締役CEOの川越一磨氏はそう説明する。

 

同社は2015年に設立され、TABETE事業以外にもクッキングによるチームビルディングや食に関する各種イベントを催したり、暗黙知を言語化・体系化する「パターン・ランゲージ」を用いた組織活性化支援などを行ったりしている企業である。

 

コークッキングがフードロス削減に取り組むのは川越氏の体験によるところが大きい。川越氏は慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)総合政策学部で学ぶ傍ら、和食店の厨房でアルバイトを経験し「食」に興味を抱いた。そして就職先として選んだのが大手飲食店チェーン。店舗運営やホール担当として働いたが、そこで目の当たりにしたのが、毎日大量に廃棄される食材や料理だった。その光景を初めて見た時は大きな衝撃を受けたそうだ。

 

「お客さまの食べ残しはもちろん、消費期限の切れた食材などが、毎日大量廃棄されていました。初めはもったいないという意識で見ていたのですが、そのうち日々の仕事の忙しさに追われて、その光景を見ても何とも感じなくなってしまった。ある日、何とも感じなくなっている自分に気付き、感覚がまひすることが怖いと思ったのです。その後、約1年半勤務したその会社を退職しました」(川越氏)

 

退職後は、学生時代に地域活性化のフィールドワーク先として縁のあった、山梨県富士吉田市にあるコミュニティーカフェで経営者兼シェフとして働いた。そこでは、地元で採れた野菜を使った料理を提供する、いわゆるスローフードを実践していた。その後、フードロスは飲食店だけでなく生産現場で起こっている現実を知り、ボランティア活動で規格外野菜をスープにして提供するイベントを毎月開催。同イベントへはフードロス問題に関心の高い消費者が毎回参加してくれるほど人気があったものの、いまひとつ広がりが持てなかった。そこでフードロスを減らすビジネスを立ち上げることで、この問題解決に寄与したいと考えるようになった。

 

「いろいろと調べる中、『Too Good to Go』というレストランと消費者を結ぶ欧州のマッチングアプリがあることを知り、このビジネスモデルを日本でも展開しようと考えた。それがTABETEです」(川越氏)

 

2016年にサービスの構想を練り、その後、資金調達などを経て2017年9月にデータ版を立ち上げ、2018年4月にサービスを本格的にスタートさせた。

 

 

店が設定した値段や引き取り時間などの条件を見て、ユーザーが商品を購入する。決済はあらかじめクレジットで行うため、店舗では商品を渡すだけ

 

 

 

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