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【特集】

「新しい食」をつくる

日本の伝統的食文化である「和食」が世界で人気だ。しかし、その発信源である日本では「和食離れ」が進んでいる。伝統を守り継ぐだけでなく、新しい食文化の創造も重要だ。新しい食の開発で先行する企業の取り組みを追った。
2020.02.28

伝統食のかつお節を現代に合う姿へ
こだわるのは「だし感の追求」
マルトモ


2020年3月号

 

 

 

25μの薄さで、口溶けの良いおいしさとしょうゆ要らずの減塩効果を実現した「プレ節®」。ターゲット顧客に定めた30・40歳代女性に好感度が高い俳優のディーン・フジオカさんをCMに起用したことも人気を後押しする

 

家庭用も業務用もだしを効かせた優しい塩味に

 

タンパク質が約70%と豊富で、体内で合成できない全9種類の必須アミノ酸をバランス良く摂取でき、疲労回復効果もある。室町時代には「花鰹」と呼ばれ、江戸時代に製法が定着して400年続いている健康食・かつお節。そのどこに着眼するかが開発成果を左右する。マルトモがこだわるのは「だし感の追求」である。

 

約100種類のうま味・香味成分を抽出するかつおだしは、和の食文化に欠かせないものだ。「だしが濃いと薄味でもおいしい。だから減塩効果が生まれ、低カロリーで満足できるため健康な食卓になります。また、素材の旬の味を楽しめて、味覚や人格の礎となって人間力の形成にもつながる。目指す姿は、2013年に和食が世界文化遺産に登録された理由と、ほぼ共通しています」(土居氏)

 

「だしを効かせたやさしい塩味」をコンセプトに新しく商品化したのが、特殊だしを配合したタレをかけ、電子レンジでおかずを作る調味料「お魚まる」「お肉まる」「お野菜まる」シリーズである。「特に、和食で難しいといわれる煮魚を、電子レンジだけで調理できるのは画期的です」(土居氏)。日本食糧新聞社の2019(令和元)年度「新技術・食品開発賞」も受賞した。

 

だし感へのこだわりは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの総菜や外食産業のメニューを開発する「だしコン」(だしのコンサルティング)でも発揮している。ある外食チェーンが導入したラーメンは、だしコンによりだしのうま味を生かして脂分や塩分を減らし、低カロリーのヘルシー食へと変身を遂げた。

 

「業務用食品の世界でレシピ提案は当たり前のことですが、私たちはそれだけでなく、だしコンによって新しい食の未来を提案しています」(土居氏)

 

こうした従来にない価値を持つ開発・提案を可能にするのが、レシピを数値化し味のポジショニングを分析する「マルトモメソッド」だ。おいしさを客観的に評価できるよう、人間の舌を模した味覚センサーを2004年に導入。味わいや商品コンセプトの“現在地”や他社製品との比較などが、レーダーチャートやマッピングで一目瞭然に分かる優れものである。

 

例えば、液体つゆは以前、コク味もうま味も高いのが売れ筋のボリュームゾーンだったが、近年はより薄味へと変化。売り手は味を薄くして特売品にでき、買い手も猛暑続きであっさり爽やかな味を好む傾向が見えてくる。そして、だしを効かせて薄味でおいしくすれば、どちらのニーズも満たすことができる。

 

「蓄積したデータと分析ノウハウで、トレンドも、おいしさと価格の満足度の高いバランスも分かります。それができるのは私たちだけですし、お客さまの納得度が違いますね」(土居氏)

 

 

 

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