TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

建設テック

「Construction(建設)×Technology(技術)」の融合で、建設業の生産性向上と技術革新を図る動きが活発だ。AI 活用やドローン 3D測量、XRなどの最新技術を建設現場に全面導入し、土木・建築・設計の常識を覆しつつある事例を紹介する。
2020.01.31

スタートアップ企業への投資で建設業界の課題を解決する:カシワバラ・コーポレーション

 

カシワバラ・コーポレーションが大規模修繕を手掛けたマンション。長く安心して住めるよう、物理的な劣化の修繕に加え、性能をグレードアップさせて改良。資産価値を高めている

 

大学発ベンチャーも投資対象に

 

JAPAN CON-TECH FUND が出資を検討中の企業は、他にも数多くある。例えば、建設作業の一部をロボットが補う施工機械を開発する企業や、VR(バーチャルリアリティー:仮想現実)/ AR(オーグメンテッドリアリティー:拡張現実)などを活用した施工現場の可視化システムを開発する企業である。

 

ユニークな例としては、建設現場で働く作業員の健康管理にITを活用しようというアイデアもある。

 

「建設現場の技術者が温度計などのセンサーを装着することで、気温や体調の変化を知ることができる安全管理システムの開発もあり得ると思います。特に、異常気象が起こりやすい昨今の地球環境や、高齢者が多い建設業界の現状を考えると、ニーズは高いはずです」(山田氏)

 

さらに、建設現場には膨大な建材・資材が毎日のように搬入されている。これらの管理にも大きな労力がかかる。しかしIT技術によって、各建材・資材がどこにあり、どの施工段階に進んでいるのかを把握できれば、施工管理が大きく変わる。

 

未来の建設業界や施工現場の在り方を大きく変える可能性があるアイデアの宝庫とも言えるJAPAN CONTECH FUND。同プロジェクトは、今後も多くの出資先と協賛者を募る予定だ。

 

「現在はITベンチャー企業からの問い合わせや投資依頼が多いのですが、もっと幅広い組織や団体に応募していただきたいと考えています。例えば、大学発ベンチャー企業の新しい技術や、新しい建材などの開発をする大学研究室への支援も視野に入れています。ITに限らず、独自技術を持つ建設会社の応募も大歓迎です。共に建設業の未来を変えていきましょう」(山田氏)

 

同プロジェクトからどのような新しい事業やサービスが登場するのか、今後も目が離せない。

 

 

大学発ベンチャーの新しい技術や、新しい建材などの
開発をする大学研究室への支援も視野に入れています

 

PROFILE

  • ㈱カシワバラ・コーポレーション
  • 所在地 : 東京都港区港南1-8-27 日新ビル9F(東京本社)
  •     :山口県岩国市山手町1-5-16(岩国本社)
  • 創業 : 1949年
  • 代表者 : 代表取締役 柏原 伸介
  • 売上高 : 722億6600万円(連結、2019年1月期)
  • 従業員数 : 973名(連結、2019年11月末現在)
1 2
建設テック一覧へ特集一覧へ特集一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo