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【特集】

建設テック

「Construction(建設)×Technology(技術)」の融合で、建設業の生産性向上と技術革新を図る動きが活発だ。AI 活用やドローン 3D測量、XRなどの最新技術を建設現場に全面導入し、土木・建築・設計の常識を覆しつつある事例を紹介する。
2020.01.31

10万人に支持されるシェアナンバーワンのプロジェクト管理ソフトウエア
オクト


2020年2月号

 

 

オクト 代表取締役社長 稲田 武夫氏
実家のリフォームをきっかけにリフォーム会社の比較サイトを構築。その過程で、建築現場の負担軽減が切実であることを知りました

 

 

「建設・建築業で『働く』を『幸せ』に」をミッションに掲げ、ITの力で建設業界の構造的な課題解決を目指すオクト。成功の鍵を握るのは、現場の実情を徹底的に吸い上げるヒアリング力だ。

 

 

社会課題を解決したいと未経験の建設業界に挑む

 

製造業に続く第2位の巨大市場、建設業界。だが、そこで働く人たちの生産性は著しく低い。古くから残る業界の慣習が効率化を阻み、ペーパーワークに大切な時間を削り取られていく。

 

「日本の大きな社会課題と言ってもいいと思います。他の業界と比較しても、建設・建築業界はアナログな部分が多く生産性が高くない上に、職人さんの多くは60歳を超えていて、数年後にはいよいよ深刻な人手不足になることが予見されます。 

 

とりわけ過酷なのは中小建築現場を管理する監督で、複数の現場を掛け持ちして職人たちをまとめ、さらに発注元への進捗報告も怠れない。この人たちの負担を軽減し、若い人も呼び込めるような職場にすることができないかと考えるところから、開発がスタートしました」

 

そう語るのは、オクトの代表取締役社長である稲田武夫氏だ。同社は、2016年に建設・建築現場のプロジェクト管理ソフトウエア「&ANDPAD(アンドパッド)」をリリース。元請け企業や施工事務所などを中心に1800社以上で採用され(2019年11月時点)、現場管理アプリのシェアは1位となっている。

 

基本的な仕組みは、オフィスワークの現場に導入されているWBS(作業工程を細かな作業に分解し、構造化する管理手法)ツールと同じだ。管理者(監理者)が、工程を分解して表に落とし、クラウドを介して作業者が見られるようにする。

 

もちろん、これまでも似たようなシステムがないわけではなかった。だが、多くは元請けの建築会社内における情報共有グループウエアの域を出ず、プロジェクトがスタートして外部の職人たちが加わると、途端に電話とファクスが情報伝達手段になってしまっていた。

 

「われわれIT業界と建設業界の構造は意外によく似ています。品質に対して高い要求が寄せられる一方で、スケジュールやコストを厳しく管理していかなければならない。ですから、外部のスタッフも含めたプロジェクト管理がとても重要になります。

 

もし、僕がIT企業として、クライアントから『今度から開発プロジェクト管理は電話とファクスでお願いします』と頼まれたら、申し訳ないけど勘弁してくださいとお断りするしかありません。逆に言えば、建築の現場にITを導入すれば間違いなく状況が改善する確信がありました」(稲田氏)

 

稲田氏は大学卒業後、リクルートホールディングスに入社。新規事業の立ち上げに多く携わる中で、在職時に起業した。自身が実家のリフォームをしようとした時に、業者を見つけるのに苦労したことからリフォーム会社の比較サイトを構築。これをきっかけに建築業界との付き合いが始まり、ホームページの立ち上げやSEO(検索エンジン最適化)対策などを請け負うようになった。その過程で建築現場の負担軽減が切実なニーズとなっていることを知り、&ANDPADを発案したという。

 

「IT業界で当たり前のように使っているものを、建築の現場でも当たり前にする」ことを合言葉に、徹底的にヒアリングを重ね詳細なニーズを把握。スタッフを増強するなどして開発を急いだ。だが、施工といっても住宅か商業施設か、建物の規模、関わる業種の数によって業務の流れもKPI(重要業績評価指標)も異なり、なかなかまとまらなかった。建築業界出身のメンバーを開発陣に加えたり、実証実験に加わったクライアント企業との議論を繰り返したりして、どうにか納得のいく製品が出来上がるまでに1年もの時間を費やした。

 

 

ユーザーインターフェースのシンプルさが魅力の&ANDPAD。検査・見積作成・OB点検・メンテナンス管理もオプションで可能

 

 

写真・資料管理
バラバラに管理していた写真や資料を一元管理

 

 

 

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