リスクを徹底的に排除し
円満な買収に成功
タカハシアートプランニング
2020年1月号

タカハシアートプランニングが店舗のデザイン・設計・施工を手掛けた「キャッツアイ篠路店」
企業が持続的成長を図る手段として有用なM&Aだが、半ば強引に書類上の契約を進め、合併後に調和が図れないケースも少なくない。
タナベ経営のサポートにより、円満な譲り受けに成功した企業に話を聞いた。
北海道でカラオケ店や飲食店、ゲームセンターなど、エンターテインメント系施設を幅広く展開するタカハシグループ。その1社であるタカハシアートプランニング(以降、TAP)は、店舗のデザイン・設計・施工や住宅リフォームなどを手掛ける会社だ。グループがカラオケ事業などで培った店舗デザイン経験を生かす形で、2010年に設立。現在はグループ外の事業者の店舗設計・施工も行い、業績が着実に伸びている。
同社の強みは何といってもエンターテインメント施設に精通していること。「グループ全体としてエンターテインメント施設運営の経験が長いだけに、押さえておくべきツボが分かる。グループの企業幹部とは常に情報を交換しており、最新事情についてもキャッチアップできています」と代表取締役社長の髙橋和也氏は自信をのぞかせる。
実際、同社の店舗作りにおける設計・監理のノウハウは貴重で、首都圏からも声が掛かるという。4、5年前からは東京の施工会社とタッグを組み、都内の大手エンターテインメント事業者の新装工事にも携わっている。
そんな髙橋氏のもとへ2018年6月、タナベ経営がM&A案件を紹介した。もともとはグループの別会社である北東商事が提案を受けた案件だったが、その社長が内容を見て、TAPの方がマッチすると判断したためだ。
タナベ経営が提示した案件は、社員数約10名の東京の店舗内装設計施工会社だった。業務内容はTAPとほぼ同じで、店舗開発を行う親会社の設計・施工を主な事業とする立ち位置も共通していた。
「東京のエンターテインメントや外食の市場は非常に活発です。次から次へとテナントの入居者が入れ替わり、そのたびに私たちのような内装会社に声が掛かる。競争は激しいですが、それを差し引いても魅力的な市場です」と髙橋氏は言う。事業の拡大を目指す上で、東京進出は常に心の片隅に置いており、過去には東京で人を採用して支社を設立しようと動いたこともあったという。それだけに、M&Aの話には心が躍ったそうだ。早速、株式を100%保有する親会社社長と会い、話を進めていくことになった。

TAPが店舗を施工したカラオケ「キャッツアイ清田店」(左)
網走ビールの「流氷ドラフト」。天然色素クチナシによる鮮やかなブルーが特徴的(右)

道東観光開発の「知床観光船おーろら」(左)
女満別空港線を走るバス(網走バス)(右)
タカハシグループ
- (株)タカハシ
グループ全体の経営管理 - タカハシエンターテイメント(株)
エンターテインメント系施設の運営 - タカハシフードサービス(株)
飲食店の運営 - タカハシアートプランニング(株)
店舗などのデザイン・設計・施工や住宅リフォームなど - タカハシライフサポート(株)
サービス付き高齢者向け住宅「花・水・木」の運営など - 北東商事(株)
ゲームセンターなど、アミューズメント施設を手掛ける - (株)フィールド
カラオケボックス「MASH」の運営 - 道東観光開発(株)
観光船事業、道の駅事業、外食系事業 - 網走ビール(株)
ビール、発泡酒の製造・販売 - 網走バス(株)
バスなどの一般乗合旅客自動車運送事業 - 網走ハイヤー(株)
ハイヤーやタクシーなど一般乗用旅客自動車運送事業 - (株)きたみ観光バス
バスなどの一般乗合旅客自動車運送事業 - (一社)日本地域福祉協会
介護付き有料老人ホームの運営など