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選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

成長M&A

かつてM&Aといえば「乗っ取り」「身売り」など暗いイメージが付きまとったが、いまや多くの企業が持続的成長を図る手段として選択する時代になった。後継者難、本業の競争力低下、早期の新規事業開発など、一筋縄ではいかない経営課題を最短距離で解決したM&A事例をリポートする。
2019.12.27

第一印象を大切に、真摯な姿勢で
M&Aを成功へ
ハヤブサ


2020年1月号

 

 

事業の補完、シナジーを重視して候補を探索

 

由美氏はペット事業でのM&Aを希望した。それに対し、息子の歯朶哲也氏(常務取締役)は、フィッシング事業でのM&A候補の方が事業展開に有利だと考えたそうだ。

 

「ペット事業という新規分野でM&Aを目指し、事業を一気に成長軌道に乗せる戦略は確かにメリットがあると思いました。しかし、フィッシング事業でのシナジー(相乗効果)を冷静に判断した結果、後者との交渉を優先して進めるべきだと考えたのです」(哲也氏)

 

当初は難色を示していた由美氏を説得。フィッシング事業におけるM&Aを進め、哲也氏が交渉実務を全て担当した。結果的に、この時点で意思統一して交渉窓口を一本に絞ったのが、後々の折衝で有利に働くこととなった。

 

哲也氏が有望視したフィッシング事業でのM&A候補は、栃木県佐野市に本社を置く「株式会社レイン」(以降、レイン)であった。従業員数は10名と組織の規模は小さいものの、ルアーの一種であるワーム(ミミズや小魚などを模した疑似餌)を中心に商品開発力に優れ、釣り愛好家の中では有力ブランドの一つとして知られた存在である。

 

「例えば、レインはアジ釣り用のワームやブラックバス釣り用のシンカー(仕掛けに用いる重り)などで根強い人気の商品を持っていました。こういった分野は、当社の事業を補完するのに加えてシナジー(相乗効果)を発揮できると、候補先の情報が来た当初から考えていました。また、当社の海外ネットワークを活用することで、生産力の増強や販路の拡大を早急に見込める点も大いにメリットがあると感じました」(哲也氏)

 

一方、レインは商品開発力に優れているものの、事業の海外展開は限定的であった。加えて、後継者問題を抱えていたことから、会社の未来を考えたときにM&Aへの取り組みが重要と捉えていた。

 

もっとも、レインの社長は自社のブランドに対する思い入れが強く、「真に信頼できる相手先でなければ資本提携は行わない」という姿勢を貫いていた。ハヤブサから声が掛かる前、複数の同業他社に打診を行っていたものの、いずれも交渉が途中で頓挫した経緯もあった。

 

 

  • (株)レイン
  • 所在地:栃木県佐野市田沼町817-5
  • 創業:1993年
  • 代表者:代表取締役 平井 久
  • 資本金:2000万円

 

  • 沿革/History
  • 1993年 個人事業で米ZOOM BAIT社製ワームの輸入販売を開始
  • 1996年 有限会社レインプランニング(本店・東京都中央区)設立
  • 1998年 現社名に変更、釣り具卸販売へ本格参入
  • 1999年 国際フィッシングショー出展、関西営業所開設
  • 2000年 オリジナルワーム「クラッカージャック」発売
  • 2002年 資本金2000万円に増資、「レインズ」ワーム製造・発売開始
  • 2010年 欧州釣具貿易展示会(EFTTEX/エフテックス)
  •             米国・世界フィッシングショー(ICAST/アイキャスト)出展
  • 2012年 フランス国内釣具展示会出展
  • 2019年 ハヤブサと資本・業務提携

 

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