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【特集】

ラーニングカルチャーの創造

常に学ぼうとする文化(ラーニングカルチャー)がある企業は、人材育成の投資効果が高く、好業績を維持しやすい。その文化はどのように形成されるのか、事例からひもとく。
2019.12.16

笑って終わりじゃない「理論」と「実践」のプログラム
人のつながりと信頼を高めるのが「本当の笑い」
ブック・ブリッジ


2019年12月号

「理論」と「実践サイクル」を体感

「笑いのノウハウって、よくご存じだし蓄積しているでしょ?うちの社員にもぜひ、聞かせてくれませんか」

旧知の経営者が呟いたそのひと言が、笑いの研修を始めたきっかけだ。機械メーカー勤務を経て、大好きなお笑いの放送作家へと転身を遂げた橋本氏は、組織で仕事をする難しさやストレスを肌で実感していた。

「その時に気付いたんです。そういった課題を解決する需要も、放送作家にあるんだと」(橋本氏)

舞台に立つお笑い芸人の姿を、数えきれないほど舞台の袖から見ていて、気付いたことがあった。人気が出る芸人は、「もう一度、会いたい」と思わせるような共通点があるのだ。

「コミュニケーションの達人なんですよ、彼らは。どうすればお客さまを引き付け、場を和ませることができるか。そのセンスはまさに天才的ですが、それを経験知のデータとして蓄積・分析して理論化できるのは、誰よりも間近で見ている放送作家。だから、どんな仕事のシーンでも役立つ研修ができると思っています」(橋本氏)

何度も会いたいと思われるほど好かれる人になるために、橋本氏は「笑いの理論」として、一つの答えを導き出した。「愛想の良さ→ツッコミ上手→多角的な視点→心の余裕」という実践サイクルだ。

「愛想良く笑顔になると、マメなツッコミができるようになる。すると、周りの変化や自分が持つ輝きにも気付き、客観的に俯瞰できるようになる。そして、心に余裕が生まれ、さらに愛想が良くなりもっといい笑顔になる。そのサイクルの真ん中にいるのが、人気芸人なんですよ」(橋本氏)

研修プログラムでも、笑顔やツッコミ、「ふわっとした、広く大きい視野」(橋本氏)を大切にしている。いずれも自分次第で、誰もが実践できるからだ。もう一つ重視するのは、自らが笑いのプロであるように、受講者もまた「その道のプロ」ということ。

「実は当初、受講者を『素人さん』と呼んでいました。『笑いの素人』という意味ですが、いまは絶対に言いません。皆さん、それぞれの職種にふさわしいコミュニケーションを実践しているプロですから」(橋本氏)

受講者一人一人へのリスペクトが、「研修して、終わり」ではなく、その後のスムーズな実践にもつながっている。受講後のアンケートでも「クレームを受けたお客さまに、うまくツッコミを返して笑ってもらえた」「苦手に感じた上司とも、距離感が縮まった」など高い評価を得ている。また、必ず聞こえてくるのが「上司にもぜひ、参加してもらいたい」との声だ。確かに、研修機会から遠ざかる経営幹部や管理職も、自分の殻を破るきっかけになり得る。実際に、経営トップが自ら参加する事例も少なくないという。

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