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【特集】

ラーニングカルチャーの創造

常に学ぼうとする文化(ラーニングカルチャー)がある企業は、人材育成の投資効果が高く、好業績を維持しやすい。その文化はどのように形成されるのか、事例からひもとく。
2019.12.16

笑って終わりじゃない「理論」と「実践」のプログラム:ブック・ブリッジ

「笑い」と「涙」は表裏一体

 

誕生から10年、「お笑い研修プログラム」は吉本興業や放送事業者とも提携し、全国へと広がりを見せる。

「時代が追い付いてきたことも、大きいですね。お笑いが社会に浸透していますから」(橋本氏)

 

笑いの土壌が育つことで「本物の笑い」はさらにその真価を発揮していくことになる。学習塾の子ども、就活に臨む大学生、福祉・介護施設の高齢者――。イジメをなくす、幸せな最期の時を迎える、など、世代を超えた「楽しく豊かな人生の、笑いの種まき」を同社は続けている。

 

いま、笑いの理論を突き詰めた末に「必然的にたどり着いた」(橋本氏)のが、「涙活」研修だ。

感動を伴う情感の涙には、笑いに匹敵するストレス解消効果があり、お笑い研修に盛り込むことで、場がキュッと締まり、笑いの素晴らしさがさらに心に突き刺さるという。

涙活研修は病院の看護師向けに行うことが多い。かつては、感情を抑えて職務に当たることを求められがちだったが、いまは患者の痛みが分かり、共感して一緒に寄り添えるスタッフを求める職場が増えてきた。

 

涙活研修では、感謝の「ラブレター」を書く。恋愛に限らず、親子や親友、上司や部下など対象は自由だ。

 

「今後はAIやIoTが進展する未来社会を形づくる企業や開発研究者にも、笑いと涙の研修を体感してもらい、新時代のコミュニケーションづくりの力にもなりたい」と笑顔で語る橋本氏。それは、どんな人も笑顔で未来へ渡る懸け橋になる、と社名に込めた願いでもある。

 

「誰かの名前を英語にして前後を入れ替えただけだろ。なんてツッコミは入れないでくださいね」(橋本氏)

 

 

Column

自分が笑えば「笑い」は後からついてくる

「口角を上げると脳が『機嫌がいい』と勘違いし、続けるうちに本当の笑顔になる。さらにあなたの笑顔を見た人も笑顔になるでしょう」(橋本氏)
一人の笑顔が、職場や会社全体を笑顔にする。そう考えると、笑いの研修の重要性が実感できるだろう。また、橋本氏は独自に、「笑いの要素」を発想力・表現力・伏線力・変換力・本番力とし、自社の採用試験で取り入れている。

「例えば、発想力を試したいときは、画用紙を渡して『円すいを書けますか?』と問います。イラストで表すとすれば、上から見た『○に・』や、横から見た二等辺三角形でもいい。架空の人物として“エンスイ”和尚の顔を書いてもいいし、イラスト以外に『YES』と言葉を書いてもいいのです。たまに、堂々と円柱を書く人がいて、それにはすかさずツッコミを入れますけど、それも笑い的にはOKなんですよ」(橋本氏)

面白いネタか、オチはあるか……。「笑い」を起こそうとすると身構えてしまいがちだが、実は表情や声色を豊かに、自信を持って語れば「笑いは後からついてくる」(橋本氏)そうだ。「良く思われたい」「失敗したくない」と誰もが思うものだが、自分をさらけ出し、笑い飛ばしてみる。それが、笑いもビジネスも、うまくいくコミュニケーションの秘訣なのかもしれない。

 

ブック・ブリッジ代表取締役の橋本昌人氏。「日本笑い学会」理事、YCC(よしもとクリエイティブカレッジ)などで「お笑い芸人の講師」も務める

ブック・ブリッジ代表取締役の橋本昌人氏。「日本笑い学会」理事、YCC(よしもとクリエイティブカレッジ)などで「お笑い芸人の講師」も務める

PROFILE

  • ㈱ブック・ブリッジ
  • 所在地:大阪府大阪市西区北堀江1-1-7 四ツ橋日生ビル402号
  • 創業:2009年
  • 代表者:代表取締役 橋本 昌人
  • TEL:06-7661-8146

 

 

 

 

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