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【特集】

ラーニングカルチャーの創造

常に学ぼうとする文化(ラーニングカルチャー)がある企業は、人材育成の投資効果が高く、好業績を維持しやすい。その文化はどのように形成されるのか、事例からひもとく。
2019.12.16

見て、感じて、表現して創造力を育成。アート鑑賞を通してダイバーシティーへの理解を深める:明治産業

AIにできないスキルを磨き選ばれる人材へ

 

VTS研修を始めた結果、社員の潜在能力が引き出され、再び積極的になったと明永氏は話す。個人の意見を受け入れることも大きなポイントであり、ダイバーシティーへの理解を深めることにつながるという。

「もはや受け身ではいられないのです。『作者がどうしてこの絵を描いたのか』という受け身の視点から『自分がこの絵を見てどう思うのか』という主体性のある視点に切り替わっていきます」(明永氏)

 

対象となる絵画は司会に選ばれた社員が探すのが基本だが、時には社員たちが描いた絵を張り出すこともある。偶然にもその絵が形の概念にとらわれず、色だけで塗りつぶされたものが多く、社員の心情を解放するきっかけにもなっているという。

「世の中は何でも自動化が進み、AIによって仕事がなくなってしまうという風潮がありますが、果たしてそうでしょうか。何かに気付き、生み出すことができるのは人間しかいません。だからこそ、感性を磨くことが必要なのです。今後はそういった人材になっていくことが求められます」(明永氏)

 

社員からは「こうでなくては、気に入られなくては、という意見ではなく、うそではない自分の意見が言えることで、気持ちに余裕が生まれ、行動の選択肢が広がった」という意見が上がっている。

「人は育て方によって大きく変わります。“人財”とよく言いますが、あらためて言葉の意味を実感しています」と明永氏は確信に満ちた表情で語る。プレスリリースも積極的に配信している同社。VTS研修の輪は今後、九州から全国へと広がっていくだろう。

 

 

Column

アート鑑賞の楽しさを感じました

同じ絵を見ても、人によって違う感想を持つことに驚き、アート鑑賞の楽しさを感じました。同じ物事でも捉え方や価値観は人それぞれで、自身の固定観念を捨て、他者の価値観を受け入れることで良い人間関係が築け、さらに自分の成長につながるのではないかと思います。これまで美術館に行くことがあまりなく、作品に込められた作者の意図を考えたことはなかったのですが、研修を通してアートの楽しみ方を知ったので、プライベートでもアート施設に足を運ぶ機会をつくりたいですね。

司会を務めた明治産業の西口氏

 

明治産業代表取締役 明永 喜年氏(左) 営業部 永末 有希氏(右)

明治産業代表取締役 明永 喜年氏(左)
営業部 永末 有希氏(右)

 

PROFILE

  • ㈱明治産業
  • 所在地:福岡県福岡市中央区薬院1-14-5 MG薬院ビル4F
  • 創業:1961年
  • 代表者:代表取締役 明永 喜年
  • 売上高 : 61億円(2019年6月期)
  • 従業員数: 44名(2019年9月現在)

 

 

 

 

 

 

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