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【特集】

ラーニングカルチャーの創造

常に学ぼうとする文化(ラーニングカルチャー)がある企業は、人材育成の投資効果が高く、好業績を維持しやすい。その文化はどのように形成されるのか、事例からひもとく。
2019.12.16

教育の「効果」「効率」「魅力」で
受講者と組織のニーズを満たす
熊本大学 教授システム学研究センター
大学院教授システム学専攻 教授
(センター長・専攻長)鈴木 克明 氏


2019年12月号

 

まずは受講者が自ら学ぶ企業風土をつくる

 

では具体的に、IDをどのように社員教育へ活用していけばよいのだろうか? まずは研修プログラムの設計よりも、自主的に学べる風土の構築を考えることが先決だと鈴木氏は指摘する。

 

「研修はあくまでも人材育成の最後の手段と考えていただきたい。多くの人材開発担当者は“研修をすれば効果が出る”と考えがちですが、極論を言えば『やらない方がいい』のです。研修をするには、本来行うべき業務を中断して集まってもらわなければなりませんし、交通費など実施のためのコストがかかり、経営的には負担を抱えることになります。そのため大切なことは研修を行わなくとも社員が自主的に学べる環境づくりです」(鈴木氏)

 

研修で何から何まで教え、与え過ぎてしまうと、社員の自主性を損なう恐れがある。そこで大切になるのが自主的な企業風土の醸成だ。「うちの会社では自分でどんどん進んでやっていい」と、社員に伝えることが大切だと鈴木氏はアドバイスを送る。その上で、トライアンドエラーを推奨したり、失敗をとがめるのではなく共有してノウハウへとつなげたりするなど、ラーニングカルチャーを育む環境をつくっていく。

 

その過程においてポイントとなるのが、OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)である。OJTは実務を行いながら、上司などが部下に教える手法。「上司が部下に実践してほしいことを遂行できるスキル」を身に付けてもらうために行うものだ。つまり、職場の課題解決や目標達成に貢献できる人材に育てるためのトレーニングである。そこで、研修ではOJTを重視しながら、職場では教えきれないことをOff-JT(職場外訓練)で補うという考え方で臨むことが重要になる。

 

「当然のことですが、Off-JTの代表である研修は、職場でどんな役割を求められているのかを受講者が把握し、それを実現する内容にしなければ意味がありません。人材開発担当者と職場の上長との意思疎通や連携など、組織的に取り組むことが不可欠です」(鈴木氏)

 

しかも研修後に、受講者が職場で求められているパフォーマンスを発揮できるようになったかどうかを、きちんと評価できる体制があって初めて効果があるという。

 

 

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