徹底した”沖縄ブランド”づくりで
「沖縄の価値」を全国に発信
ゆいまーる沖縄
2018年度、6年連続で過去最高の入域観光客数を更新した沖縄県。その一方、県内企業は本土の大手資本との厳しい競争にさらされ、経営体力が問われている。そんな中、沖縄の工芸品・食品の企画プロデュースで成長を続けているのが、ゆいまーる沖縄だ。
ダイナミックな色遣いの琉球ガラスや、コバルトブルーの唐草模様があしらわれた焼き物。伝統工芸品の卸・販売を手掛けるゆいまーる沖縄の店舗には、沖縄の手仕事で生み出された工芸品などを中心に、「琉球・沖縄でつくられたもの」、「企画・デザインされたもの」が並ぶ。
同社は1988年に創業。創業者の故・玉城幹男氏が、集団就職先の東京で沖縄出身者に対する差別と直面したことをきっかけに、琉球文化にこだわり沖縄で作られたものを流通させることで、沖縄の経済的な発展を実現しようと志したのが出発点だ。経営目的の一つである「琉球の自立を目指す」には、玉城氏の思いが込められている。
「表向きは明るい観光地ですが、沖縄には400年以上もの間、侵略されたり戦地となったりした歴史があります」。そう話すのは、ゆいまーる沖縄の代表取締役社長・鈴木修司氏だ。
沖縄では壮絶な歴史の中、伝統工芸や芸能、食に加えて自然崇拝、祖先崇拝といった精神文化が、今日まで伝えられてきた。伝統文化が消えゆきそうになっている今、それらを守り、育み、広めるため、取り扱う商品は沖縄で生まれたものにこだわっている。
さらに、土産として買われる品だけではなく、日常生活で使ってもらう品となることを狙って、デザイン性や質の高いものを厳選。商品が人々の生活に身近になれば、沖縄の手仕事が長く愛されていくとの考えからだ。