攻め続ける大阪発のロングセラー
パイン流“バズマーケティング”
パイン
ネットとメディアで大きな話題呼ぶ
公式ツイッターは無事に承認されたが、次の問題は誰がツイッターの「中の人」(担当者)になるか。そもそもツイッターを知っている社員がいなかった。そのため、提案者であるマッキーさんに白羽の矢が立った。
担当を命じられるとはまったく思っていなかったマッキーさんだったが、「責任の重さを感じながらも、『面白そう!』という気持ちの方が強かった」と当時を振り返る。スタート時のフォロワーは20名ほど。ひっそりと始まったが、発信する内容やタイミングを試行錯誤したり、「パインアメ」とつぶやいている人にリプライ(返信)を送って公式アカウントを紹介したりと、地道な活動を続けるうちにじわじわとフォロワーが増えていった。
この流れが突然変わったのは2012年11月28日。この日のつぶやきが、状況を一変させることになる。
「(…… きこえますか… きこえますか… みなさん… パインアメです… 私は今… みなさんの心に… 直接… 呼びかけています… パインアメは… 鳴るように作っていません… 吹いても鳴らないのです… )」
実は、業務で来客の対応をするマッキーさんは、「普段から『パインアメって鳴りますよね』という言葉をよく掛けられていた」と言う。残念ながら、パインアメは吹いても鳴らない。鳴るのは、同じ大阪市の菓子メーカー・コリスの「フエラムネ」である。
「形が似ているからか、勘違いされている方が多いという実感はありました。これはツイッターのネタにすると面白いと思い立ちました」
この実体験に、そのころツイッター上ではやっていた「きこえますか…」というフレーズを合わせて発信したところ、想像をはるかに超える反響が寄せられた。瞬く間にリツイート(RT)が広がり、1日で2万5000RTという記録を樹立したのだ。
「これをきっかけにフォロワー数が増えましたし、『パインアメを買いました!』というツイートもたくさんいただきました。また、メディアから取材に来ていただくほど話題になったことに、社内が非常に驚いていました」(マッキーさん)
何げない気付きから始まった“鳴らない事件”には、さらに思いがけない展開が待っていた。このツイートを見たコリスから声が掛かり、「フエラムネ パインアメ味」が商品化。“鳴るパインアメ”が消費者に喜ばれたのはもちろん、同社にとっても「ツイッター発のコラボレーション」という、貴重な経験となったのだ。