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【特集】

実行力

経営実態を具体的にわかるようにする「見える化」に取り組む企業は多い。だが、問題が見えるだけでは何の解決にもならない。それを解決へつなげる「実行力」が不可欠だ。「見える化」によって見えた問題を解決している企業の取り組みに迫る。
2019.08.30

災害調査データや長年の経験を有効活用
豪雨・大地震などの自然災害リスクの軽減に挑む
エイト日本技術開発


2019年9月号

企業の災害時の対応策はBCPからのスタートが望ましい

SHIFTやBOSSの提供は自治体に限られているが、各企業ではどのような方法で自然災害のリスクから自社を守ればいいのだろうか。この点について、磯山氏は事業継続計画(BCP)へ積極的に取り組むことだとアドバイスを送る。

「BCPに取り組むことは、企業の事業継続に関するあらゆる危険を洗い出し、その対応策を考えるきっかけになります。当然、そこには地震や水害なども含まれるので、個々に対応策を考えていくことが重要です。その際にリスクを特定すること、そのリスクの大きさや難易度によって、『回避』『移転』『低減』『保有』といった考え方で対応することがポイントになります」(磯山氏)

回避とは、そのリスクに関わる事業自体を行わないということ。移転は、その言葉通りリスクを移転すること。代表的なものとしては各種損害保険に加入することが挙げられる(最新の国際標準規格ISOQ31000では、「共有」に含まれる)。低減はリスクを減らすことを指し、社屋や工場の耐震補強などが含まれる。そして保有は、リスクをそのまま受け入れるということ。例えば、沿岸部に社屋がある場合、巨大津波が発生すれば被害は避けられないので、建物などは諦めて従業員の命は守れるよう避難を徹底するといったケースである。ただしこの場合、企業存続のためには資金を留保しておくことも必要である。このようにリスクを分類して、その対応策を考えることが重要だと磯山氏は指摘する。

さらに事業継続のためには他社と、災害を受けた際も操業できるようにあらかじめ業務提携を結ぶことも不可欠になるだろう。

「自然災害時におけるさまざまなリスクを洗い出して、その対応策を事前に検討することが、南海トラフ地震をはじめとした万が一の自然災害時に何をすべきという『対応策の見える化』につながると思います」(磯山氏)

さらに、「すでにBCPを策定していても、実効性のある計画へ見直し・更新することが重要となっています。当社には自治体のBCP策定業務の実績が数多くあり、そのノウハウは病院や工場などの民間企業のBCPにも応用することができます。いつでも相談してください」と磯山氏は語る。

いつ起きるか、誰も予測できない自然災害。だからこそ「備えあれば憂いなし」、早めに対応することが望ましいと言えるだろう。

Column

災害時に役立つ新技術やシステム開発に挑み続ける

エイト日本技術開発が現在進めているプロジェクトに、徳島大学と共同研究を行っている「災害拠点施設の即時被害推定システム」がある。同システムは、簡易地震計を市役所や公民館などの公共施設に設置し、その計測データをサーバーで一括管理することで、地域内の各施設の震度などを即時に把握できるシステムだ。そのデータを利用することで、町全体の被害状況の把握や初動対応を迅速に行えるようになるという。

「以前は地震計そのものが高価でなかなか設置できなかったのですが、今ではかなり廉価で入手できるようになり、コスト的にも実用化のめどが立ったので、このシステムの開発に着手しました。すでに徳島県の吉野川市で複数の地震計の実証実験を行っており、近い将来、次世代災害情報システムとして役立てたいと考えています」(磯山氏)

また、同社では水中調査が可能なソリューションも開始した。こちらでは自律型無人潜水機を用いて、水中の地形や水質などを測定できる機器を利用し、地震による津波後の地形や水質の変化を測定できる。津波後に魚のすみかとなる魚礁がどのようになっているのかを調べることも可能であり、水産業の復興などに役立てたい考えだ。

 

エイト日本技術開発 代表取締役副社長 磯山 龍二氏

 

PROFILE

  • ㈱エイト日本技術開発
  • 所在地:東京都中野区本町5-33-11
  • 創業:1955年
  • 代表者:代表取締役社長 小谷 裕司
  • 売上高:194億円(2019年5月期)
  • 従業員数:912名(2019年7月現在)
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