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【特集】

実行力

経営実態を具体的にわかるようにする「見える化」に取り組む企業は多い。だが、問題が見えるだけでは何の解決にもならない。それを解決へつなげる「実行力」が不可欠だ。「見える化」によって見えた問題を解決している企業の取り組みに迫る。
2019.08.30

「仕事を出したくなる」工場へ
スピード感持ち一点突破&横展開
富士精機

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2019年9月号

前後の工程をつなげて従業員の評価も見える化

次々と成果を上げる富士精機の5S・見える化活動。だが、それは現在進行形にすぎない。「まだ進捗度は50%、ようやく基礎固めができた段階です。これからは単に“きれい”というだけでなく、機能的な5S――人間の動線を意識した理にかなった物の置き方などを考えていきたい」と前川氏は話す。その達成目標年は、3年後の2022年だ。

併せて、見える化もさらに徹底する。四脚の置き台を一本足に改造、三脚の送風機を工場柱に取り付け、占有スペースを減らした。キャビネットの引き出しや扉をなくす取り組みは今まさに進行中。飲み物などを冷やす冷蔵庫も、ガラス扉の冷蔵ケースに変更した。

従業員のスキルや設備稼働状況の見える化は、工場内の掲示板に貼った紙の管理表で行っているが、最終的にはIoT(モノのインターネット)を導入し、紙の帳票管理からタブレット端末によるデータ管理へと移行させたい考えだ。

「5Sができていない工場でIoTは使いこなせない。5Sができる今のタイミングだからIoTを活用できると考えています。今年中に工場のモノの流れがひと目で分かるようにしたい」(前川氏)。その言葉からスピード感が伝わってくる。

この先、同社は5S・見える化をどこへつなげるのか。「旋盤で削っていく前工程と熱処理後の研磨の後工程を1人で処理できるようにしたい。そうなればさらに仕掛品が減るし、不良品を出しても自分でフォローできる。仕事にやりがいも持てます。そこまで持っていきたいですね」と前川氏。将来的には、評価制度や給与体系の見える化まで視野に入れているそうだ。

Column

「現場を仕切る人が理解する」「1カ所」「短期間」がキーワード

前川氏に、5Sの成功ポイントを「重要な順」に挙げてもらった。第一に、現場を仕切る人が5Sを理解していること。第二に、短期間で「職場が変わった」とみんなに感じさせること。第三に、「5Sをやりたい」と思うメンバーを何人も育てること、とよどみない答えが返ってきた。そして、「みんながついてこないと嘆いても仕方がない。(自分)1人でもやる」「まずは1カ所だけでも変える。1週間で」と続けた。

同社は週に1回(金曜日午後4~5時)、仕事を止めてでも5Sに取り組む時間を設けている。また、第1週目の金曜日に「生産改革塾」という勉強会を開き、改善アイデアや成功体験を共有している。そこでは経営ビジョンも語り合う。売り上げや改善目標を語るだけでは不十分だからだ。

「『こうしよう』と言うだけではダメ。『将来こういう形にしたいから、今こうしよう』と言うと、みんなは理解してついて来てくれる。顧客満足と従業員満足を目指そう、ブッシュのトップメーカーになろう、そしてみんなで裕福になろう。そのためには、安い仕事を追い掛けていてはダメ。だから今やるべきことは……と」(前川氏)

 

富士精機 取締役工場長 前川 要氏

 

PROFILE

  • 富士精機㈱
  • 所在地:石川県金沢市いなほ1-11
  • 設立:1962年
  • 代表者:代表取締役 川島 正夫
  • 売上高:12億5000万円(2019年6月期)
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