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【特集】

幸せのための経営

社員の幸福度と会社の業績は比例する。そもそも、不幸な社員が顧客を幸せにできるはずがない。そこで近年、働く人を幸せにするマネジメントが注目されている。何をすれば、社員は幸せに感じるのか。多様な実例から検証する。
2019.07.31

成功の秘訣はマッチングの妙とマインドチェンジ
高いスキルを持つ高齢者の再雇用を支援
マイスター60


2019年8月号

セカンドキャリア支援プログラムを
企業と高齢者の両方に提供

では、企業は高齢者のどのような要素にニーズを感じているのだろうか。マイスター60が行ったアンケート調査やヒアリングを通して浮かび上がってきたのは、「知識や経験が豊富で即戦力」「現役世代に比べてコストが安い」「社会人としての常識を十分に備えている」。雇用コストもさることながら、スキルに期待していることが分かる。一方、高齢者の方は「生活のため」「やりがい・生きがいを求めて」「健康のため」が主な理由のようだ。

長年にわたり、多くの高齢者と企業のニーズをマッチングさせてきたマイスター60は、高齢者がセカンドキャリアを踏み出す際の成功例と失敗例を数多く見てきた。

「失敗例として一番多いのは、マインドチェンジができなかったケースです。つまり、現役時の職務や地位にこだわったり、プライドが邪魔したりして、新しい職場に適応する柔軟性に欠ける場合です」(井口氏)

成功要因としては、「経験が求人ニーズに適合している」「専門性が高く、実務執行能力が高い」「新しいことにチャレンジする意欲がある」「明るい、若々しい」「バランス感覚・柔軟性に優れている」などを井口氏は挙げる。

このように、マイスター60にはマッチングサービスで培ってきた多くのノウハウが蓄積されている。そのノウハウを「シニアセカンドキャリア支援プログラム(SSSP)」として体系化。再雇用制度を導入している企業の人事部門に、高齢者活用のメリットと注意点、高齢者の強みと弱み、活躍事例、高齢者が職場に望むことなどの情報を提供する。

一方で、雇用延長を選択するかどうかを迷っている企業内対象者には、雇用延長や他社での再雇用に当たっての心構え、再就職の成功事例と失敗事例の説明、必要なスキルと事前準備、企業が高齢者に期待していることなどを伝えている。

このSSSPにより、再雇用を希望する高齢者にマインドチェンジの重要性を周知し、再就職する上での準備を支援するとともに、企業に対しても受け入れ態勢の整備を働き掛けているのだ。

加えて、人材の支援策として、2016年に「設備管理技術者育成プログラム」をスタートした。同社の派遣サービスで中核を占める施設・設備管理分野の技能を持つ人材を自社で育て、企業への派遣を増やすために生まれたプログラムだ。

現役時代は事務系など施設・設備管理以外の仕事に従事し、その後、職業訓練校で6カ月間、設備管理を学んで基本的な資格を取得した人をマイスター60で採用する。入社後は社員としてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実務経験を積み、スキル評価後に派遣スタッフとして活躍してもらう。

「職業訓練校に通って設備管理の基礎を学び、基本的な資格を取得しているものの、実務経験がなく就業の場を得られない高齢者に、働く場を提供するプログラムです。現在は、施設・設備管理など専門分野のスキルを身に付けたシニアの方が少なくなっているので、人材を育成できるスキームとして考えました。すでに多くの方がこのプログラムを利用し、派遣スタッフとして活躍しています」(井口氏)

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